オーナー企業7割で後継者不在
定年後に再雇用されたトラック運転手3人が、定年前と同じ職務なのに賃金を下げられたのは違法だとして勤務先の運送会社を訴えていた控訴審の判決で、東京高裁は11月2日、賃金の引き下げを適法と判断し、労働者の訴えを棄却しました。
3人の運転手は正社員として同社に勤務してきましたが、定年を迎えた後、1年契約を更新していく嘱託社員として再雇用されました。職務内容は変わらず、賃金は定年前の3割ほどに引き下げられました。
平成25年施行の改正労働契約法では、有期雇用と無期雇用で労働条件に不合理な格差を設けることを禁じています。一審では、定年後の再雇用社員にこの法律の適用を初めて認め、賃金の差額を支払うよう命じていましたが、高裁でこの判決が覆りました。
高裁判決では、「定年後再雇用での賃金減額は一般的で、社会的にも容認されている」と指摘。労働者側は上告する方針です。
この事件の結論はまだ先になりそうですが、「同一労働同一賃金」が叫ばれるなか、企業にとっては定年後の労働条件について方針転換する時期が来ているといえるでしょう。