中古は住宅ローン審査で不利?通すための対策
「やっぱり気が変わったので、契約をなかったことにできますか」
大阪市西区で不動産仲介をしております、重村です。中古マンションの売買契約を結んだあとに、こうしたご相談をいただくことがあります。ご家族の事情、急な転勤、もっと良い物件が出てしまった――理由はさまざまです。
結論から申し上げると、契約後のキャンセルは「できます」。ただし、いつ・どんな理由で解約するかによって、手元から出ていくお金がゼロにも、数百万円にもなります。ここを知らないまま契約書に署名される方が、実は少なくありません。
①手付解除は「相手が動き出す前」まで
民法557条により、買主は支払った手付金を放棄することで、売主は手付金の倍額を現実に提供することで、契約を解除できます。理由は問われません。気が変わった、でも通ります。
ただし期限があります。条文上は「相手方が契約の履行に着手するまで」。実務ではあいまいさを避けるため、売買契約書に「手付解除期限 ○年○月○日まで」と日付で明記するのが一般的です。中古マンションでは契約から1か月前後に設定されることが多いです。
3,000万円の物件で手付金が200万円なら、手付解除とは200万円を手放す決断ということ。そして期限を過ぎれば、この選択肢そのものが消えます。
②期限を過ぎると「違約金」に変わる
手付解除期限のあとの自己都合解約は、債務不履行による解除です。契約書に定めた違約金(売買代金の10〜20%程度で定められることが多い)を支払うことになります。3,000万円なら300万〜600万円。すでに支払った手付金は違約金に充当されますが、足りなければ追加でお支払いいただくことになります。
「手付金を捨てれば済む」と思っていたのに、桁が変わる。この差を生むのは理由の正当性ではなく、日付です。
③ローンが通らなかったときは「白紙解除」
一方、住宅ローンが承認されなかった場合は別枠です。売買契約書の融資利用の特約(いわゆるローン特約)により、定められた期日までに融資の承認が得られなければ、契約は白紙に戻り、手付金は全額返還されます。違約金もかかりません。
ここで注意したいのが3点です。
・融資の承認期日を過ぎてから「通りませんでした」と伝えても、特約は使えないことがある
・特約に書かれた金融機関や借入額と違う内容で申し込んでいた場合、適用されないことがある
・事前審査が通っていても本審査で覆ることはある(契約後の転職、カードの延滞、審査中の新たな借入など)
売買契約書のローン特約の欄に、金融機関名・借入金額・承認期日が正しく記載されているか。契約の場でここだけは読み飛ばさないでください。
まとめ
中古マンションの契約後の解約は、①手付解除期限まで=手付金の放棄、②期限後=違約金、③ローン否決=白紙解除で負担なし、と整理できます。分かれ目は「理由」ではなく「日付と条文」です。
大阪市内は中古マンションの流通量が多く、条件の良い物件ほど検討時間が短くなりがちです。だからこそ契約前に、「手付解除の期限はいつか」「ローン特約の承認期日はいつか」。この2つだけは担当者に口頭で確認して、ご自身の手帳に書き写しておくことをおすすめします。即答できない担当者なら、その場で調べてもらってください。それを嫌がらない人かどうかも、見ておいて損はありません。
契約解除をめぐる紛争の判断や違約金額の妥当性は弁護士の領域です。ただ、その手前で「この契約書だと、いつまでに何を決める必要があるのか」を分かる言葉でお伝えすることが、私たち不動産会社の役割だと思っています。
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