相続した不動産の管理費や税金などの問題について
「とりあえず今回は、お母さんに全部相続してもらおう」
ご家族が亡くなられたあと、遺産分割の話し合いでこうまとまるケースはとても多いです。配偶者に多く渡せば相続税がぐっと軽くなりますし、残された親を思う気持ちとしても自然な選択です。
ただ、不動産の相続は「一次相続」だけで考えると、数年後の「二次相続」で思わぬ負担が子ども世代にのしかかることがあります。今日は、その落とし穴と分け方の考え方をお話しします。
①なぜ配偶者に全部寄せると危ないのか
配偶者には「配偶者の税額軽減」(相続税法19条の2)という大きな優遇があり、1億6000万円か法定相続分のどちらか多い額までは相続税がかかりません。だから一次相続では配偶者に多く寄せるほど、その時点の税額は下がります。
問題はその次です。今度は配偶者自身が亡くなる「二次相続」では、この配偶者軽減は使えません。しかも相続人が一人減るぶん、基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)も縮み、課税対象が増えやすくなります。一次で楽をしたぶん、二次で子どもがまとめて負担する——これが典型的な失敗パターンです。
②「誰が住み続けるか」で小規模宅地の使い方が変わる
自宅の土地は、小規模宅地等の特例(租税特別措置法69条の4)で居住用330平方メートルまで最大80%評価減できる場合があります。ただし、この特例は「誰が相続するか」で使えるかどうかが変わります。
たとえば同居の子が自宅を相続すれば二次相続でも特例を活かせる可能性がありますが、別居で持ち家のある子が相続すると要件を満たせないことがあります。一次と二次の二回の相続を通して、この土地は最終的に誰が引き継ぐのが有利か——そこまで見据えて配分を決めることが大切です。
③現金と不動産のバランスを見て分ける
不動産は分けにくく、納税資金にもなりません。二次相続でまとまった相続税が出るのに、遺されたのが自宅と少しの預貯金だけ、というと、子どもが納税のために急いで自宅を売る事態になりかねません。大阪市内でも、時間に追われて相場より安く手放すことになった例を何度も見てきました。
一次相続の段階で、配偶者には自宅を、子には現金をというように、将来の納税や生活まで見てバランスを取っておくと、二次相続がぐっと穏やかになります。
【まとめ】
相続は「今回いくら税金がかかるか」だけでなく、「次にどうなるか」まで見て分けるものです。とはいえ税額の試算や特例の判断は非常に専門的で、私たち不動産のプロも税理士と連携しながら進めています。まずはご家族が元気なうちに、二次相続まで含めた全体像を一度整理してみてください。ご自宅の評価や売却の見通しについては、いつでもお気軽にご相談ください。


