建物明渡の強制執行。
老朽化による立退き要求
事例
貸主から「建物が築後35年を経過し、老朽化により安全が保てない。建て替えをするので1年後までに立ち退いて欲しい。」と要求された。
●このケースの場合、築後35年を経過した建物の老朽化が「正当事由」に当たるか否かが問題となります。
建物の老朽化は正当事由の判断の一つであることは確かですが、判断要素の一つに過ぎず、「老朽化」が「正当な事由」になるとまでは考えられていません。
このように、老朽化を正当な事由として、立退きの要求をすることは、通常認められていません。
仮に、耐震診断等により建物の安全性に問題があり、耐震補強工事等が必要な場合においても、その工事が建替えと同等の費用が必要になる等の特別の事情がない限り、貸主は安全性を理由に契約の解除をすることはできない可能性が高いと思います。
逆に、建物の安全性に問題があることが判明したときは、貸主には補強工事を行う義務が生じます。(貸主の修繕義務)
やはり、立退きの要求は、裁判等の法的解決は得策ではなく、借主に事情を丁寧に説明をして、真摯に話し合いをすることが最善の方法かと思います。
●また、借主も貸主の事情も良く聞いて話し合いに応じたうえで、判断することが大事なことだ
と思います。
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