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赤ちゃんの発達が妨げられている最近の子育て ~ぶら下がる抱っこ~

福本智恵子

福本智恵子

テーマ:赤ちゃん・子ども



赤ちゃんは「抱っこ」されることがとても好きです。
寝かされっぱなしで退屈すると、誰かに構ってほしかったり、
抱き上げてもらいたかったり。
やわらかい腕の中は心地よく、さっきまでの不満が消え、途端に泣き止みます。


「抱く」という漢字は「てへん」に「つつむ」です。
手や腕で包むようにしてからだにくっつけている様子が「抱く」です。

赤ちゃんを抱く時は、腕や手を赤ちゃんの頭やからだに添えて、
抱いている人のからだにくっつけていますね。
その際の赤ちゃんのからだはどのようになっているのでしょうか。
抱く時にそんなことを考えたことはありますか。


首が据わっていない赤ちゃんを抱く時は、必ず頭を支えますね。
不安定な頭を支えることは誰もが理解していることだと思います。
首が据わっていない赤ちゃんは頭の重さを支えてあげるために、
手や腕を後頭部に添えて抱きます。

よく見かけるのは首の後ろを腕に乗せているため、頭は後ろに落ちた状態、
顎が上がってのけぞったような姿勢になっている光景です。
これでは頭の重みを支えているとはいえません。
そのため赤ちゃんは首や背中が緊張したままで抱かれています。


ではからだ全体はどうでしょうか。
「抱く」というのは安定した状態で支えられていることです。

横抱きで片方の腕がダランと垂れ下がっている光景も目にします。
抱いている人の脇の下に挟むような形で赤ちゃんの腕がダランと垂れ下がり、
自分で動かそうにも範囲は狭く、自分のからだの前に持っていくことは不可能です。

背中を支えられてはいるけど、両足もダランと垂れ下がっていれば、
からだ全体が反り返ったような状態になります。
先ほどの頭が後ろに落ちた状態であれば、からだの前側は伸びきっています。

首が据わり、ハイハイをするくらいになると抱きやすくなり、
片腕で抱えることがあります。
その際、腕を赤ちゃんの脇の下に回して抱えるので、
赤ちゃんの脇から下はぶら下がっています。
足はブラブラして宙ぶらりん。
これは安定とはいえないです。

自分がそのような状態で抱えられていることを想像してみてください。
安定して心地よいと感じますか。


赤ちゃんはお腹の中で丸くなっています。生まれてからも背骨は丸い状態です。
その姿勢が落ちつくし、これから動くためにも
丸くなっている方が力を発揮しやすいのです。
徐々に背骨のカーブが作られますが、
自分のからだを支えられる関節や筋肉の働きが
身に着くまでは相当の時間をかけています。

「抱く」ことで心の安定を得られますが、それはからだの安定があってこそ得られるもの。
宙ぶらりん、反り返っている、ダランとして動きにくいなどの状態は、
居心地が悪いばかりではなく、間違ったからだの使い方に発展します。


抱っこする人の自分自身のからだを支える機能が低いと、
赤ちゃんを抱っこすることはかなりの負担になります。

自分にとっての抱きやすさが、赤ちゃんにとっての居心地の悪さにつながるケースは
抱っこする人の体幹の機能やボディイメージとも関連しているように見受けられます。

育児をするためのからだづくり、体幹の働きを高めることは
赤ちゃんの発達にも影響をもたらします。


もう一度、「抱く」という漢字、その意味を考えて、
赤ちゃんのこころもからだも安定する「抱き方」を身につけましょう。



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福本智恵子
専門家

福本智恵子

Cosmos(コスモス)

「良い姿勢」とは「まっすぐ立つ」こと。それはヒトが生まれたときに遡る。約1年間をかけた発育発達過程を、赤ちゃんから大人まですべての人が学習・実践でき、「良い姿勢」と「効率の良い動き」が作れます

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