気になる日本語 「~ざる おえない」

長野淳子

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テーマ:気になる日本語

ここ数年、どうにも気になる言い回しがあります。

「~ざる おえない」

「我慢せざる おえない」 「言わざる おえない」 「認めざる おえない」・・・等々。
テレビやラジオの番組などで、タレントやアナウンサーなどが間違えて言う言い回しで、
「~ざる おえない」 と切る場所を間違えたり、はなはだしいケースでは
「~ざるを おえない」 と二重に言い間違える人も、一人や二人ではありません。

例えば 「行かざるを得ない」 は、

○ 行かざる - を/得ない・・・というように成り立っていて、
「行かないということをできない」 つまり 「行かないわけにはいかない」 という意味です。

しかし、これを
× 行かざる/おえない・・・という形で、誤解している人がいるようで、
この場合の 「おえない」 は、「責任は負えない」 といった時に使う 「負えない」 や
「終えない」 「追えない」 などと、混同しているようです。

そもそも 「~ざるを得ない」 は、漢文訓読由来の文語的表現の名残で、
打消の助動詞 「ず」 の連体形 「ざる」 +格助詞 「を」 に、
〈~できない〉 という意味を表す 「得ない」 が付いたもので、
決して 「負えない」 「終えない」 「追えない」 ではないのです。

よく似たものに、「しかたがない」 という意味の 「やむを得ない」 があります。

○ やむ - を/えない
× やむ/おえない

間違う原因として考えられるのは、「~ざる おえない」 「やむ おえない」 も
多くが耳で聞いた時に間違って覚えられ、それらが 「掲示板」 や「メール」 などのツールで拡散され、
広まっていったのではないでしょうか。

ともあれ、間違いは間違い。
気づいた時に気づいた人が 「その言い方は間違っている」 と きちんと指摘して、
なおしていかなければならないと思います。

ホームページにも ブログを掲載中です。ぜひご覧ください!! 
http://www.stage-up.info/person/cat1/

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言葉には話す人の思いが宿ります。「生きた言葉」を日頃から使って、物事を人生をいい結果に導きましょう。ステージ・アップは、司会・朗読・講演・講座など様々なシーンに合わせて「生きた言葉」をお届けします!!

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