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長野淳子

生きた言葉のプロ

長野淳子(ながのじゅんこ)

ステージ・アップ

コラム

「放送禁止用語」 と 「差別用語」 について

気になる日本語

2015年9月28日 / 2015年10月1日更新

テレビ番組などで、CM明けや番組の終了間際に、
「番組放送中に、不適切な発言がありましたので、お詫びいたします」
というコメントが出されることがあります。

これは、番組放送中に出演者が、いわゆる 「放送禁止用語」 を使ってしまったための 「お詫び」 で、
時には 「先週の番組放送中に・・・」 と言われ、「先週いったい何を言ったの?」 と
妙に気になってしまうこともあります。

「放送禁止用語」 とは

「放送禁止用語」 といわれるものは、テレビやラジオといったマスメディアにおいて、
何らかの理由で 「差別用語として使用が禁止されている言葉」 を指すもので、
決して法によって明文化されたものではなく、「放送事業者の自主規制」 によるものです。 

「放送禁止用語」 の例と その理由と言い換えた言葉

★「お灸を据える」 ⇒ 東京都はりきゅう・あん摩指圧師会からの要請で ⇒ 「お仕置き」 「制裁」
★「将棋倒しになる」 ⇒ 将棋連盟からの申し入れにより ⇒ 「折り重なるように倒れる」
★「父兄」 ⇒ 男女差別につながるという理由で ⇒ 「父母」 「保護者」
★「土方」 ⇒ 職業的差別につながるという理由で ⇒ 「建設作業員」 「建設労働者」
★「しりぬぐい」 ⇒ 不快感を与えるという理由から ⇒ 「後始末」
★「めくらめっぽう」 ⇒ 視覚障害のある人に配慮して ⇒ 「やみくもに」 「手当たり次第」
★「つんぼさじき」 ⇒ 聴覚障害のある人に配慮して ⇒ 「かやの外」 「仲間外れ」

「将棋倒し」 がダメなら、本来倒すことが目的の 「ドミノ倒し」 ならいいのかしら?
などと突っ込みを入れるのは、いささか不謹慎だと思いますが、
ちなみに、「玉突き事故」 という言葉に対して、「日本ビリヤード協会」 は、
「特に差別用語としての使用禁止を求めない」 という見解を示しているそうです。

「差別用語」 への対応

確かに、身体の不自由な人や社会的弱者を侮蔑したり蔑んだりする言葉は、
人間として許されるものではありません。
また、時代と共に変化していく言葉の中には、現代において適切でない言葉も少なからずあると思います。

こうしたことに、メディア関係者は敏感になりすぎているきらいがあり、
以前、昔の映画がテレビで放映された時、セリフにいわゆる 「差別用語」 があったのでしょう。
そのセリフの声が消され 「クチパク」 になっていたのを見て、びっくりしたことがありました。

いくらなんでもそれはやり過ぎということで、現在では、放送の最後に
「作品の中に、現代において不適切な言葉がありましたが、
作品の内容を尊重するため、そのまま放送しました。ご了承下さい」
といったテロップが出されるようになりました。

「言葉」 には 「語源」 がある

例えば 「つんぼ桟敷」 という言葉は、
歌舞伎の二階桟敷の一番奥で、舞台の役者の声がよく聞こえない場所のことを言い、
「声が聞こえない桟敷」 から 「つんぼ桟敷」 という言葉が生まれたと言われています。

「言葉」 にはそれぞれに 「語源」 があり、それを知る事で歴史が見えてくることもあります。
ですから、それらの言葉を、安易に 「差別用語」 と言う言葉でひとくくりにして、
使用を禁じることに対しては、少なからず疑問をもちます。

大切なのは 「様々な立場の人への思いやり」

要は 「用語」 の問題ではなく 「対応」 の問題だということです。
つまり、「様々な立場の人」 に対する 「思いやり」 が大切だということです。

そう言った点から見れば、人種や宗教、性別、性的指向などに対する、憎悪に基づく差別的な言動の
「ヘイトスピーチ」 の方が、はるかに 「差別用語」 といえるのではないかと思います。

もちろん、不特定多数の人が見る 「番組」 と、街頭での 「ヘイトスピーチ」 とでは違いがあると思いますが
それこそ 「様々な立場の人への思いやり」 の面から言えば、どちらも同じではないかと思うのですが
皆さんは、どうおもいますか?

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