破産管財人のお仕事

笠中晴司

笠中晴司

テーマ:個人ネタ

「破産管財人」ってご存知ですか。

「破産」についてはなんとなくわかってられる方も多いかと思いますが,「破産事件」において,裁判所から任命されて,破産事件を処理するのが,「破産管財人」です。
一方,破産を希望する方から依頼されて,破産申立の代理人を弁護士が務めることもあります。
破産管財人と申立代理人は両方とも弁護士がなりますが,破産管財人は,どちらかというと債権者の立場から事件を処理し,破産申立代理人は,破産者の立場から事件を処理します。

破産管財人の仕事を具体的にいうと,破産者が破産申立にあたり裁判所に提出した書面(ほとんどの場合,申立代理人の弁護士が作成)や,その他破産者が有する帳簿等をチェックしたうえで,破産者から事情を聴取する等して,破産者の財産や破産に至る経過等を調査します。

また,破産者に換価(お金に換える)できる財産があれば換価をして,現金を確保します。

そして,債権者に配当できるだけの財産(「破産財団」と言います)が確保できれば,「債権調査」という手続きで,各債権者の債権額を確定します。

そのうえで,各債権者の債権額に応じて(比例配分という意味です),破産財団から配当という形で弁済します。

しかし,破産申立てに至るということは,かなり困難な状況になっているからですので,破産管財人が努力して換価しても,破産財団から受けられる配当は,良くて数パーセント,下手をすると1パーセント未満のこともあります。

ですので,破産手続きをよく経験されている債権者の方は,破産手続きが開始されても,配当に大きな期待をされることはなく,淡々と手続きが進行していくことが多いです。

この破産管財人の仕事も,私は弁護士になって14年間,毎年,数件の管財人をしてきました。
もちろん,破産申立代理人の仕事も,それ以上に多数行ってきました(数的には,申立代理人の仕事のほうが圧倒的に多い)。

管財人の仕事は,裁判所と打ち合わせをしたうえで進めていきますので,破産手続きについての裁判所の考え方を理解するのに,とても役に立ちます。

その経験が,破産を希望される方の破産申立代理人としての仕事にも,とても役に立っていることは間違いありません。

「何事も経験であり,一方向だけでなく,色々な方向からの立場を経験することが大切」
「色々な立場を経験することで,多面的に物事を知ったり,考えたりすることができる」

というのは,すべての業務に共通すると考えています。

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Mybestpro Members

笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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