非常勤裁判官(民事調停官)の任期が終了しました。(2)

笠中晴司

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テーマ:個人ネタ

(1)から続く。

弁護士が,弁護士という業務(本業)をしながら,非常勤裁判官をするという「民事調停官」,「家事調停官」の制度はどのようにして,生まれてきたのでしょうか。

まず,その前提として,裁判官は,現在,いわゆる「キャリア裁判官」と言う表現があるとおり,最初から裁判官になるというのが圧倒的多数です。
そして,「キャリア裁判官」になるには,弁護士と同様,司法試験に合格して,司法研修所の研修を終えるのですが(検察官も同様です),その後,司法研修所を卒業する際に,最高裁判所に対し,「裁判官として採用してほしい」という申出をし,最高裁判所が採用を決めるという手続きが必要です(この採用方式が,他の官庁等と同様の採用方式であるという意味で「キャリア」という言葉が使われているようです)。

以前は,ほとんどこの方法しかなかったのですが,裁判員裁判制度が導入されたことに代表される司法改革のひとつとして,弁護士から裁判官を採用するという制度が導入されました。

弁護士から裁判官を採用する(弁護士から見ると「(裁判官に)任官する」となります)制度には,常勤の裁判官として,弁護士が採用される場合と,私がやっていたように,「非常勤」の裁判官として,民事調停官や家事調停官に採用される場合とがあります。

常勤の裁判官への任官は,上記の「キャリア裁判官」と全く同一の扱いであり,弁護士も辞めて,裁判所に勤務するということになります。

一方,非常勤裁判官は,原則として,週に1度だけ,裁判所に出勤し,その他の日は,弁護士としての業務を続けます。

では,「非常勤裁判官」制度の目的は何でしょうか。

まず,1つめは,「非常勤裁判官」が民事調停官や家事調停官として担当する,「調停」という手続きに,弁護士という民間の感覚を広く導入することをひとつの目的としています。

そして2つ目は,「非常勤裁判官」は常勤の裁判官への任官への「架け橋」としての位置づけがあるとされています。
つまり,常勤の裁判官への任官を考える弁護士にすると,裁判所に1日だけ行くことで,裁判所の仕事の進め方や雰囲気などがかなりわかり,常勤の裁判官になるイメージ作りができる(一方,非常勤の間は,弁護士業務を続けることができる)。
一方,裁判所にしてみると,裁判所での非常勤裁判官の勤務の様子を見て,その弁護士が「常勤の裁判官としての適性があるかどうか」をある程度判断することができる。

以上が,非常勤裁判官制度の目的です。

次は,私が,「非常勤裁判官」に応募した理由とその結果につき,お知らせします。

(3)へ続く。

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笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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