足の健康とスローライフ 2

小黒健二

小黒健二

テーマ:よもやま話

「巻き爪」や「外反母趾」で悩む学生さんが増えています。
比較的、女子学生の割合が高いのが特徴です。
一方、男子学生の場合は足首が土踏まずの側に倒れこむ「外反扁平足」が増えているような気がします。
原因の一つは「ローファー」と呼ばれる「学校指定靴」にあります。
親指の厚みがある方、足がスリムで細い方等が比較的この靴の影響を受け易いように思います。

「ローファー」は硬い革で覆われたスリッパみたいな靴です。女性のプレーンなパンプスやカッターシューズと同じで足の形状に対応するための調節機能はいっさいありません。
従って、靴が足を適度に押さえつけて脱げにくくなるようなサイズ(足長や幅)を選択せざるをえません。
ところが、このこと自体、実は非常に難しい選択なのです。
その理由は、ブカつきを防ぐために窮屈に目をつぶるか、足が痛くならないようにゆとりを許容するかの「不毛な選択」を迫られるからです。

足が細い方はサイズ(足長)に合わせると靴の横幅が足よりも大きいために、靴がブカブカしてしまいます。そこでサイズ(足長)を小さめに選択して、脱げにくいことを選択してしまいます。
また、親指の厚みや足幅がある方は、靴に無理なく足を納めるために、サイズ(足長)を大きめにして幅や容積にゆとりを持たせるという選択にならざるをえません。
ところが、靴を履き続けて革が馴染んで伸びてくると、もともとサイズが大きいのですからブカつきはじめます。
歩行時に接地した足は、蹴り出しの時点で靴先に押し出されますが、そうするとカカトがブカつくので、靴が脱げないようにスリッパを引き摺るような歩き方になったりします。
その結果、足の指先は靴先に押し付けられて圧迫を受け続けることになり、また足首は靴がブカブカする影響で不安定になります。

「ローファー」はスリッパみたいに脱ぎ履きが簡単な靴です。だからこそ足には負担が強く、また足を不安定にする靴なのですが、学校は上履きに履き替えるのに便利な靴として、脱ぎ履きが簡単な「ローファー」を指定履きにしているのでしょうか?。
脱ぎ履きが簡単な靴は、手間の掛からない便利な靴です。ところが、足の健康や体のバランスにとっては負担の強い靴なのです。

子供たちの足の健康を守るために、「スローフード」的な考え方を取り入れると、
1.守る:成長期のうちに体の土台である足の健康を守る。
2.教える:子供たちを含め、周りの大人にも足の健康を育て維持するための教育を進める。
3.支える:靴を丁寧に履き替えることができる環境を整備する。
ということになるでしょうか・・・。

 「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/

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小黒健二
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小黒健二(シューフィッター)

有限会社ロビンフット

足のトラブルの原因は様々ですが、病気や事故が原因でなければ、多くの場合が生活習慣による足の筋力の低下によるものです。「足のカウンセリング」は、生活習慣の見直しと運動による自己管理もアドバイスします。

小黒健二プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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