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高血圧とマグネシウム

上村徳郎

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テーマ:マグネシウム

マグネシウムは必須ミネラルの 1 つで、ATPに関わるすべての酵素、さらに核酸・蛋白・糖・脂質代謝・活性酸素消去酵素などの酵素活性の維持に大きく関わっています。またマグネシウムはL型・N型Caチャネル拮抗、細胞内電解質の保持作用などを有しています。これらの作用を介して生体機能、心血管・神経・筋・内分泌・代謝機能の維持と調節に寄与しています。そのためマグネシウムの過不足が生じると心血管・神経・筋・内分泌・代謝機能の調節異常が惹起されることになるのです。

マグネシウム投与による降圧効果

Zhang ら
無作為化二重盲検試験(RCT)34 試験のメタ解析を行いマグネシウムサプリメント 368 mg/日、3カ月間の投与
血清マグネシウム値
0.12 mg/dL上昇で収縮期血圧(SBP)を 2.0 mmHg、拡張期血圧(DBP)を 1.78mmHg 低下
0.24 mg/dL上昇で拡張期血圧を 2.26 mmHg 低下
マグネシウムの定量的降圧効果を明示

Dibaba ら
インスリン抵抗性、前糖尿病状態あるいは糖尿病、心血管疾患を有する正常血圧および高血圧患者に対する マグネシウム365~459mg/日、平均3.6 カ月投与の RCT をメタ解析
収縮期血圧を 4.18 mmHg、拡張期血圧を 2.27 mmHg 低下
させることを報告

これらの成績はMg の温和な降圧効果を支持するものと考えられます。また、重症妊娠高血圧症候群に対して硫酸マグネシウムは降圧効果を有することも報告されています。

【マグネシウム代謝-その新たな臨床的意義】
基礎と総論 循環器疾患とマグネシウム
腎と透析 (0385-2156)86巻2号 Page167-172(2019.02)

Magnesium sulfate has an antihypertensive effect on severe pregnancy induced hypertension
Hypertension Research in Pregnancy (2187-5987)4巻1号 Page11-15(2016.03)

機序

マグネシウムはNaポンプの活性化で細胞内 Na 貯留を抑制して抗高血圧作用を発揮します。また、マグネシウム欠乏は遺伝的に規定されたCOMT活性と相互作用し塩分感受性高血圧を惹起するとの報告もあります。

日本内分泌学会雑誌 (0029-0661)97巻1号 Page281(2021.04)

マグネシウムは高血圧にも有効のようです。日常的に摂取をこころがけましょう。ただし、腎機能が低下している方は高マグネシウム血症になる可能性がありますので主治医に御相談ください。

マグネシウムの多い食事はこちら
https://mbp-japan.com/kagoshima/aitokukai/column/5105289/

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上村徳郎
専門家

上村徳郎(内科・腎臓内科医)

医療法人愛徳会 上村内科クリニック

内科・腎臓内科の治療を専門にさまざまな病気の要因となる生活習慣病の予防にも力を入れています。生活習慣病に関わる食生活や栄養の見直しを予防の基本とし、食事法などをアドバイス。テレビ番組などの医療監修も。

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