むくみ解消① 生活習慣について
無理なダイエットや利尿薬の不適切な使用は逆効果
特発性浮腫発症に関与している因子
摂食障害
むくみのある女性は体重に敏感なことが多く、極端に食事を制限している場合があります。このため極度に塩分摂取量が低下し、腎臓で塩分を再吸収しようとする働きが増強します。そうするとナトリウムと水の貯留が生じ、結果として浮腫がさらに悪化するのです。
立位
立位になると、血圧を維持するために末梢血管抵抗、脈拍、血圧を上昇させるホルモンなどが増加します。そうすると腎臓からのナトリウム排泄量が減りますが、こういった変化が特発性浮腫では増強されると考えられており、結果として体液が貯留するのです。
精神的なもの
McKendryの診断基準にも「神経質または自律神経が不安定」という項目があり、特発性浮腫に関連していると考えられています。主治医とよく相談しながら治療を継続することが大切です。
特発性浮腫のMcKendryの診断基準
下記スコアの合計が15点以上のとき特発性浮腫と診断する
1.月経周期とは無関係な顔面、体幹、上肢の非圧痕性浮腫(5点)
2. 8~20時の間で0.9kg以上の体重増加が少なくとも1/3の日で認められる(5点)
3. 月経周期と無関係に1日の体重増加が1.8kg以上(4点)
4. 神経質、易怒性、頭痛が浮腫にともなって増悪または出現(4点)
5. 月経不順の既往(3点)
6. 糖尿病 巨大児出産、尿糖、反応性低血糖繰り返す流産の既往(3点)
7. 糖尿病 巨大児出産(4kg以上)の家族歴(2点)
8. 神経質または自律神経が不安定(2点)
9. 過体重(1点)
10.発症年齢が20歳から60歳(1点)
対処法は?
一般的には塩分制限なのですが、過度にならないように注意します。水分と食事摂取を適正化しつつ、背景にある精神的な問題や感情障害に対しての介入が必要となります。むくみに対して、すでに利尿薬や下剤を長期に服用している場合は主治医と相談のうえ、中止を検討しましょう。中止にともなって一時的に悪化しますが、多くは徐々に改善しますので3~4週間の利尿薬中止を試してみましょう。今までの利尿薬や下剤の服用を急に中止することが不安になる場合もありますので、少しずつ減量していくことも検討しましょう。
特発性浮腫
診断と治療 (0370-999X)104巻8号 Page1029-1033(2016.08)
むくみに悩むあまり、無理なダイエットをしたり、処方されていない利尿薬や下剤を使用している場合は、それ自体がむくみの原因である可能性があります。原因となっている病態に応じた治療法があります。次回は実際の治療法についてです。