「気づく力」が、働く環境を変えていく~アンコンシャスバイアス~
思い込みに気づくことが、やさしい職場の第一歩
2025年5月21日、高松市指定通所介護事業者連絡協議会様主催の研修会にて登壇させていただきました。
テーマは「介護現場における人材育成」。
今回は、「多様性を認め合う職場づくり」や「心理的安全性」「アンコンシャス・バイアス」「”べき”に気づくこと」についてお話しました。
研修で大切にしたこと
介護の現場は、価値観・世代・文化の違いが交差する職場。
その中で起きる小さな“すれ違い”や“誤解”は、実は「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」が影響していることがあります。
- 「最近の若い人は…」
- 「この人、見た目は頼りないけど…」
- 「普通はこうするでしょ?」
こうした悪意のない無意識の言葉や態度が、職場の空気や育成、ひいては利用者さんへのケアの質にも影響を及ぼすことがあるかもしれません。
自分の「べき」に気づくということ
研修の後半では、アンガーマネジメントの視点から、「“べき”という言葉の正体」についても触れました。
「ちゃんとするべき」「上司はこうあるべき」「新人ならこうであるべき」——こうした“自分の正しさ”が、実は対立や怒りのもとになっているかもしれません。
「まぁ許せるゾーン」「許せないゾーン」の価値観の重なりを確認し、相手の“べき”にも少し心を寄せる視点を共有しました。
6年前の出会いが、今につながる
今回の研修が終わった後、高松市通連協のご担当者様から、こんなお声かけをいただきました。
「実は5年ほど前、厚生労働省の女性活躍推進セミナーで先生のお話を聞きました」
そのとき私は、育児と仕事の両立において課題となる 「小学校1年生と小学校3年生の壁」
学童保育が県内の一部地域では2年生までで終了してしまうこと、子どもが一人で家にいる時間が増えること、そしてそれが育児中の親の働き方に与える影響についてお話ししました。
そのお話を心に留めてくださっていたそうで、
その後、ご自身の事業所で「短時間勤務制度の適用期間を、小学校3年生の年度末まで延長する」制度を導入されたとのこと。
そんなふうに、言葉をきっかけに、現場が変わる。
そしてそれをわざわざ伝えてくださる――
登壇を重ねる中でも、こうした瞬間は私にとって格別の宝物です。
制度は、想いから始まる
毎年、様々なテーマで80回を超える研修や講演の機会をいただいていますが、
その場限りで終わるのではなく、
「その後につながる行動や制度づくり」まで歩んでくださる方がいること、
本当に嬉しく、そして感謝の気持ちでいっぱいです。
人が働き続けられる職場、支え合える仕組み、その根底には「気づくこと」「思いを寄せること」があるのではないでしょうか。
また誰かの一歩の後押しができるように、 これからも伝え続けていきたいと思います。
ご参加いただいた皆様、主催者の皆様、本当にありがとうございました。



