また、老舗と銘品が消える
今年、創業94年を迎える、あるとんかつ専門店がある。
店の名前は、銀座梅林(東京・銀座)。
梅林は昭和2年(1927年)、銀座で初めてのとんかつ専門店として開業した。
創業者の澁谷信勝は店を開くにあたって、それまで1枚のヒレ肉を
食べやすいように一口サイズにした。
我々が日ごろ食している「ひと口カツ」の誕生である。
また、それまでのソースに満足せず独自のソースを考案した。
これも今では市民権を得た「中農ソース」いわゆる「とんかつソース」である。
その後も、食パンにヒレカツを挟んだ「ヒレカツサンド」も産み出した。
コロナ禍でも銀座梅林には、その美味を求めて客足が絶えない。
取り巻く環境が変わっても、店としての貫き通す「こだわり」と、試行錯誤の挑戦。
それゆえ、この姿勢は市民権を得、本当の老舗になるのであろう。
筆者も上京した際には、その美味を求めて訪れる一人である。