なぜ、その企業は生き残ったのか ?
一文字屋和輔は、京都市北区にある和菓子店で、今年で創業1,018年の日本最古の飲食店である。
一般的には、「あぶもり餅 一和」で知られている。
一文字屋和輔は今宮神社の旧参道に位置し、その歴史は今宮神社と重なる。
今宮神社は994年(正暦5年)に悪疫退散の祈願をしたのが始まりで、祈願に竹が
使われ餅を供えられた。
初代が1,000年(長保2年)、供えられたその餅を参拝者に振る舞ったのが始まりと伝えられている。
一口大の餅を竹串に刺して、備長炭で焼き甘い白味噌味のたれをつける。
メニューはこれだけ、1皿10本余りで500円。
また、一文字屋和輔は代々女性が営んでおり、いまでも店主はもちろん女性であり
御給仕をするのもアルバイトの女学生。
いま世間で話題となっている「女人禁制」ならぬ「男子禁制」で継がれている。
筆者が店主に話を伺った際、
「詳しい資料は戦争で焼かれて、入れ以前の資料は無い。
ただ神社の参拝者の皆さんから、味が変わったと言われないよう
毎日の天候に気を使いながら
ひたすら先代から学んだことを毎日続けているだけ・・・」
ここでいう戦争とは、応仁の乱の事。
「お客様に喜んでもらえるために」という、ぶれない姿勢が日本最古の飲食店へと繋がれていったのであろう。
一度は訪ねてみたい、お奨めのお店であることは間違いない。