なるほど、なるほど
足利義政、織田信長、徳川家光・・・時の最高権力者がこよなく愛した「曜変天目茶碗」。
現存するものは世界でわずかに3点(または4点)しかなく、そのすべてが日本に有り3点は国宝、1点が重要文化財に指定されています。
静嘉堂文庫蔵の国宝「曜変天目茶碗」 病に伏している春日局を見舞った将軍家光がこれで薬を飲ませたことは有名な話
この器は、見る角度やその明るさによって、玉虫色に光彩が輝き移動するため「器の中に宇宙が見える」とも評されています。
12~13世紀、中国・南宋時代に数えるほどわずかな数だけ焼かれ、それから二度と焼かれることもなく、なぜか日本だけに現存し窯元の中国には残ってはいません。
いずれも作者は不明です。
また長い歴史の中で、何度となく復元を試みましたが実現せず、今もって大きな謎として残っています。
国宝の3点については静嘉堂文庫蔵(世田谷区) 藤田美術館蔵(大阪市) 大徳寺塔頭龍光院蔵(京都市) が其々厳重に保管しています。
重要文化財の1点については加賀藩前田家に伝来されたもので、現在はMIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市) が所蔵されています。
この「曜変天目茶碗」については、いま石川県立美術館で里帰りのような形で、展覧会「美の力」の中で5月20日まで展示されており、間近で見ることができます。
加賀藩前田家伝来の重要文化財「曜変天目茶碗」
「曜変天目茶碗」については、足利義政から織田信長へと所有された天下一の名器がもう一つあったそうですが、信長はこれを愛用し常に持ち歩いていたために、あの本能寺の変で焼失してしまったそうです。
いま日本国内で、この「曜変天目茶碗」を復元しようとしている陶芸家が10名ほどいます。
しかし、謎多き名器のため、上述の通り完全な形での復元には残念ながら、今なお至っていません。
筆者は先日その一人の陶芸家にお目にかかり、平成版?「曜変天目茶碗」を1つわけて頂きました。
(筆者はこれで十分満足していますが・・)
平成版?「曜変天目茶碗」 十分に器の中に宇宙が見えます・・
記憶に新しいところでは、以前「〇〇鑑定団で」で出品されたものに2,500万円の鑑定額がつけられましたが、複数の専門家からその鑑定結果を否定する声が上がり、別の意味で大きな話題となりました。
それだけ多くの人を魅了する、謎多き名器と言えるのでしょう。