生殖性 VS 停滞性 〈 エリクソン発達理論・成人期 〉
浅田真央選手や、石川遼選手を見ていて
どうすれば、わが子もあのようになれるだろうと思う人はきっとたくさんいらっしゃるでしょう。
我が子の眠っている才能があれば、何とか引き出してあげたい・・・
きっと、そんな親心がむくむくと湧いていることでしょう。
そのために、何ができるか・・・・まず
「自然に育とうとする力を邪魔しない」
ことだと思います。
人間の赤ちゃんは生理的早産(ポルトマン.A)で生まれてくるといわれています。
脳の発達により頭が大きくなり、それ以上体内にいると生まれて来れなくなるからです。
そのため動物の赤ちゃんのように生まれて数時間で立って走って・・ということは出来ません。
生まれてから、立って歩けるようになるまでには1年以上を要します。
生まれて来るまでを、子宮内胎児期。
立って歩けるようになるまでを、子宮外胎児期とも呼ばれるくらいです(ポルトマン.A)。
これらからわかることは、生まれてからの第一の課題は
本来の生まれてくる状態になることであるということです。
科学の発展により生命の発生の頃からの状態を見ることができるようになりましたが、
生物としての人間そのものが変化したわけではありません。
子どもの能力を早くから開発させてあげたいという親心で、
どんどん早期から働きかけ、教育されるようになりました。
しかし、なんでも早ければ良いというわけではありません。
発達していくための順序があり、身につけるに適した臨界期というものがあります。
その順序に沿い、適切な時期にその時に身につけるべきことを習得していくことこそが大切です。
勿論、その時に身につけ損ねたからと言ってもう身につかないのかというとそうではありません。
そこに戻り、習得すればよいのですから。
ただ、時間がかかるようになります。
五感は、話しかけたり、抱っこしたりして触れ合うことで発達していきます。
言葉等を覚えることに気が行きがちですが、これらの感覚をしっかり身につけることが大切です。
2歳ころになんでも、たくさん記憶出来たりすることがあり
ついついこのチャンスにと思うのですが
偏ると、本来その時期に身につけるものをつけそびれることにもなります。
また、その後におこる脳内のシナプスと呼ばれるものの刈り込みで
使わないものは忘れてしまします。
様々な発達に関するものを見ても、かつては大体18歳くらいまでです。
生物としての人間の発達は、ある程度の個体差はあるとしてもほぼ同じです。
別れてくるのはその後だと思います。
20歳頃に、息切れしてしまう子どもになるよりも
長い目で見ていかに生涯成長していける子どもに育てるか。
それはいかに発達にそった育ち方を大切にするかだと思います。
それらから生まれた基本的な力があってこそ
その上に、個々人の能力が積み重ねられるのです。
『天才は1パーセントのひらめきと99パーセントの努力である。(佐々木隆訳)』
という、発明王、トーマス・エジソンの言葉がありますが。
1%の力があっても、努力できる能力が育っていなければ開花出来ません。
そのために
「自分で考え、努力出来る力をつける」
なんでも、マニアル化されてきたからこそ大切な力だと思います。
そして
自然のサイクルに合わせた規則正しい生活の中で
しっかりと食べ、睡眠をとること。
愛情を持って育てられることが大切だと思います。
そのためには、周りにいる方の相互のサポートも必要ですね。
世話されたい、大切に扱われたいという欲求は、
大人になってもあります。
【知恵カフェ 4月号】