介護施設・事業所で今から取り組みたい同一労働同一賃金への対応
平成30年4月から始まる無期雇用契約への転換
労働契約法により、平成25年4月から5年
引き続いて雇用契約を更新した場合、
平成30年4月から1年間のうちに労働者から事業主へ申し出ると、
その次の年の雇用契約の更新から、無期雇用契約への転換になります。
(雇用契約期間が、4月から1年更新の場合)
無期雇用契約への転換については、
労働者から事業主へ申し出することが必要ですので、
厚生労働省で示されているような転換申出書を
労働者に提出してもらうことになります。(後述)
労働者から事業主への申し出は、必須ではありませんので、
申し出をしない選択肢もあります。
また、転換ができるようになった次の年以降に、
申し出することもできます。
無期雇用契約への転換後の雇用条件は、
有期雇用契約(1年ごとなどの契約更新)が
無期雇用契約になるだけで、労働時間や給与などの雇用条件には変わりがなく、
常勤の職員になるわけではありません。(←ここは、ポイント)
無期雇用契約への転換をするメリット・デメリット
労働者にとって、無期雇用契約への転換を申し出するメリットは、
1年ごとなどの有期雇用契約の更新がいらなくなり、
定年まで働き続けることができることです。
仕事の内容や役割なども、変わりません。
労働者が、無期雇用契約へ転換をするデメリットは、
特にありません。
無期雇用契約だからといって、仕事の内容や役割が変わり、
常勤職員並みにしてしまうと、
常勤職員の給与や雇用条件に引き上げる必要がありますので、
そのようなことは、施設・事業所は行わないのが一般的です。
労働者は、退職しにくくなるのでは?と思われがちですが、
就業規則に基づき、退職の申し出を行うことは可能です。
一般的には、引き継ぎや後任者の採用のため、
退職の30日前に申し出することが、
就業規則に定められています。
給与の額や労働時間などに変更が生じた場合は、
改めて雇用契約書(又は労働条件通知書)を
結び直しますので、退職まで現在と同じ雇用条件で
なければいけないことはありません。
また、この労働契約法の扱いにより、施設・事業所側が
労働者に対する雇用契約の契約期間を短くしたり、
契約更新を止めることも考えられます。
(これが、労働者側の法的なデメリットになるかもしれません)
しかしながら、従前まで雇用契約を繰り返してきて、
今後もその業務が引き続きあり、
雇用契約の更新もあるような状況であれば、
労働者に対する雇用契約の契約期間を短くしたり、
契約更新を止めることは、「雇止め」として、
それらの扱いは無効となり、
労働者は引き続き、雇用契約の更新がなされます。
介護関係でない他の業種でも、人材不足は深刻であり、
求人を出しても応募がないようなこの状況の中、
在籍している人材をいかに退職させないで定着をさせるかが、
事業主側の経営課題になっています。
施設・事業所にとっても、無期雇用契約への転換は、
人材の定着というメリットがあるのではないでしょうか。
(ご参考)
厚生労働省・「安心して働くための「無期転換ルール」とは」(PDF:230KB)
https://muki.mhlw.go.jp/policy/leaflet.pdf
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※2020年7月17日に、記事の内容を一部修正しました。