兵庫県加古川市立氷丘南幼稚園での講演会 「あなたのままで100点満点」
9月29日(金)は多可町立中町南小学校で講演会がありました。
テーマは「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ」。
お話しする内容は保護者向けなのですが、5、6年生にも聞かせたいということで子どもたちも前列で聞いてくれました。
下の資料をもとに子どもにどんな言葉がけをすると自信とやる気を引き出せるのかを解説しました。
子どもに対するプラスの問いかけ、マイナスの問いかけ
プラスの問いかけは子どもの考えや気持ちを聞こうとするもので、このように問いかけられると子どもは、自分は大切にされている、認められている、愛されていると感じます。このように感じる時、子どもは自らのうちに宿る「自己成長力」を発揮し、主体的・意欲的に物事に取り組むようになります。つまり、自信とやる気が引き出され前向きになるということです。
一方、マイナスの問いかけは「なんで〜するの?」「なんで怒らすの?」「誰が悪いの?」と子どもを責めるような言葉や、「もう宿題したの?」「何をしなければいけないの?」と親が望む行動を押しつける言葉が多いですね。子どもだって責められたり、親が望むことを押しつけられたら、やる気がなくなるだけでなく親のこともだんだん嫌になって親子関係も悪化します。
親の不安が「マイナスの問いかけ」を多くする
問題は普段の生活の中で「プラスの問いかけ」は少なく「マイナスの問いかけ」ばかりしているということです。
それは結論として親は普段子どもの気持ちを軽視しがちであり、親である自分の不安や期待を押しつけていることが多いということです。
こういったことの心理的背景には無意識に親子関係を上下関係と捉え、親は管理する者であり子は管理される者という固定観念があるからだと思われます。
子どもの躾けや出来が悪いと親がちゃんと躾けていないからだと思われないか、という不安をお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか。そういう不安が強いとどうしたって、子どもをちゃんとさせようとして「マイナスの問いかけ」ばかりになってしまうのだと思います。
言葉がけを変えると子どもが変わる
子どもにかける言葉が「プラスの問いかけ」に変わると、会話が前向き、建設的になって来ます。
前向きな会話が増えると親の思考も子どもの思考もポジティブになって来ます。楽観的になって不安も減ります。
子どもにかける言葉が変わると子どもとの関係も良好になります。
そして子どもとの関係、親子関係が良くなってくると子どもが変わってくるのです。
そういう意味では親子関係こそが子どもの自信ややる気を引き出す最大の要因です。
自信と意欲を引き出す親子関係のつくり方
では、どういった親子関係が子どもの自信とやる気を引き出すのか、
資料をもとに皆さまと一緒に考えて参りたいと思います。
最初に申し上げておきますが、これは7つ全部やる必要はありません。
自分がこれはいいことだな、これは大切なことだなと共感されるもの、それを1つでも2つでも心がけてもらえれば十分です。
私の考える子育てではなく、皆さんがいいなと思う子育て、自分らしい子育てを心がけてもらえればと思います。
1、幸せを受け取る(子どもの存在を喜ぶ)
ドラえもん「のび太の結婚前夜」からしずかちゃんのパパの言葉を紹介しました。
明日にのび太との結婚式を控えたしずかちゃんは急に「お嫁に行くのをやめる」と言い出します。
パパが理由を聞くと「私は今までずっと甘えたり、わがままを言ったり。それなのに私の方はパパやママに何もしてあげられなかったわ。」と親孝行を何もしないまま結婚するのは嫌だと言います。
するとパパは「とんでもない。君は素晴らしい贈り物を残していってくれるんだよ。最初の贈り物は君が生まれて来てくれたことだ。(中略)この広い宇宙の片隅に僕の血を受け継いだ命が今生まれたんだ。そう思うとむやみに感動しちゃって涙が止まらなかったよ。それからの毎日、楽しかった日、満ち足りた日々の思い出こそ君からの最高の贈り物だったんだよ。」
その後、私の娘の結婚式の時の話をしました。
「結婚式ってね、必ず小さい頃からの写真がね、音楽やナレーションと一緒に流れますね。見ていたら娘も僕も妻もみんな笑顔なんですね、ああ、あの時は楽しかったなあ・・、あの時は幸せやったなあ・・て思い返しますとしずかちゃんのパパがおっしゃいますように子どもから幸せをもらってたんやなあ、て思ったら涙が後から後からあふれて参りました。」
「親になりますとついつい子どもに何をしてやれるか、何を身につけさせてやれるかと与えることばかりに目がいきがちですが本当は子どもが持って来てくれた愛や喜びや幸せを受け取ることの方が何倍も大事なんじゃないかと思うんです。なぜか?幸せな親が幸せな子を育てるからです。」
「親はね、勘違いしてしまうんです。親が子どもを幸せにしてやらないと、て思ってしまうんです。でも逆なんですね。親が子どもを幸せにするんじゃないんです。子どもが親にいっぱい幸せを与えてくれているんです。本当は親は幸せをもらっている側なんですね。そしていっぱい幸せをもらったらいいんですね。なぜか?幸せな親が幸せな子どもを育てるからです。そうして幸せをお返ししたらいいんですね。自分は親を幸せにする存在なんだ、子どもがそう思えること、それこそが自己肯定感です。」
2、そのままを愛する(変えようとしない)
そのままを愛するとは、やんちゃな子はやんちゃな子のまま、引っ込み思案な子は引っ込み思案な子のまま、そのままを愛するということです。
一言で言いますと「子どもを変えようとしない」。
健やかなる時も病める時も、いい子の時も悪い子の時も、言うこと聞く時も言うこときかない時も、この子を愛し、この子を敬い、この子を慰め、この子を助け、時期が来たら放してやり、命の有る限り真心を込めて育てることです。
その無条件の愛が子どもの意欲、向上心、生きる力を育てます。
「そのままの自分で愛されている」
そう思えることが子どもにとってどんなに嬉しくどんなに自信がつくことでしょう。
それが今の、そして未来の子どもの心を支えます。
「そのままのあなたが大好き」
これは親が子どもに贈ることができる最高の言葉のプレゼントです。
これこそが自己肯定感の土台となるものです。
3、子どもの善さを見る(尊敬する)
その子の良い部分を見て褒めることは自信と意欲を引き出す上でとても重要です。
家庭教師である私たちは、勉強が苦手な子にわざと易しい問題を解いてもらって褒める時もあります。
君の字が好きだと褒め、好きなことがあるのは素晴らしいと褒め、君に教えるのが楽しいと褒めます。
「自分は〜である」という自己イメージを良いものに変えることが大切です。
なぜなら人間は自己イメージに沿った行動を取る傾向があるからです。
自分を怠け者だと思えばそういう行動をとりがちで、自分は意志が強い、努力家だと思えばそのような行動をとりやすいことがわかっています。
他者から褒められることは自己イメージを変える上で大きな力を持っています。
4、話しを聴く(口を挟まず最後まで)
5、気持ちを理解しようとする(押しつけない)
上の二つについては、すでにお話ししましたので解説を省きました。
6、信じて任す(管理者ではなく援助者になる)
子どもの考えや気持ちを聴いて理解したなら、それをできるだけ尊重することが大切です。
子ども自身に関わることは、親は援助者となって提案やアドバイスはしても決めるのは子どもに任せてあげるのが良いと思います。
そうすることで子どもは「自分は信頼されている」と感じて、それが自己肯定感を高めます。
7、弱さや欠点を受け入れる(許し合う)
自己肯定感を高める上で最も有効なのが「受け入れられ体験」です。
勇気を出してチャレンジした時、それが上手くいっても上手くいかなくても「よくやった!グッドジョブ!」とそのチャレンジを讃えられる。
失敗した時、挫折した時、そんな時にもあたたかく受け入れられる。
こんな自分なのに受け入れられた、そういう体験が自己肯定感を高めます。
みなさん、熱心に聞いてくださってありがとうございました。
最後にお一人お一人それぞれ違う詩をプレゼントしました。
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2023年7月 島根県奥出雲町立布勢小学校
オンライン講演「自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ」
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