和歌山県田辺市で「いのちの大切さを子どもたちにどう伝えるか」を講演
8月5日(土)は兵庫県養父市立広谷小学校で講演してきました。
これは朝来市教職員組合・養父市教職員組合様が主催の講演会です。
聞いてくださるのは教職員(9割)、保護者(1割)です。
テーマは「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ」。
精神的自立とは自己決定できること
最初に「子どもの精神的自立」についてお話ししました。
精神的自立とは、自分のことは自分で考えて自分で決められるようになるということです。
これは言葉を変えて言えば自己決定です。
まさにこれが思春期の発達課題です。
思春期とは12、3歳から17歳までの約5年間を指して言います。
実はこの自己決定が子どもの幸せに大きく関わっていることが最近わかってきました。
神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄特命教授と同志社大学経済学研究科の八木匡教授は、国内2万人に対するアンケート調査の結果、所得、学歴よりも「自己決定」が幸福感に強い影響を与えていることを明らかにしました。
(神戸大学 Research at Kobe 2018/08/31 研究ニュース より引用)
調査にはオックスフォード式の心理的幸福感を測る質問を用い、所得、学歴、自己決定、健康、人間関係の5つの要因について幸福感と相関するかについて分析を行いました。
結果は最も幸福に影響を与えるとされたのは健康と人間関係でこれはほぼ同列1位でした。
そしてその次に幸福感に影響を与えるとされたのが自己決定でした。
収入よりも学歴よりも「それを自分で決めたかどうか」の方が幸福感に影響を与えるという結果になったのです。
自己決定度を評価するにあたっては、「中学から高校への進学」、「高校から大学への進学」、「初めての就職」について、自分の意思で進学する大学や就職する企業を決めたか否かを尋ねました。
(神戸大学 Research at Kobe 2018/08/31 研究ニュース より引用)
つまり、高校進学や大学進学において最も大切なことはどこの高校、大学に行くかではなくて、それを子ども自身が決めたかどうかにあるのです。
子どもへの言葉がけを変えていく
親は普段子どもにどんな言葉をかけているでしょう?
実に親が子どもにかけている言葉の8割以上は注意・命令・禁止・叱責です。
これらの言葉は上からの一方通行で対話にはつながりません。
子どもの自信ややる気を引き出そうと思ったら、もっと親と子どもが自由で対等な立場で対話をしなければなりません。
具体的には
「どうしたらいいと思う?」
「どうしたら出来るかな?」
「どうしたい?」
「どうしてほしい?」
「何か手伝えることある?」
と子どもの考えや気持ちを優しくゆっくり尋ねてあげてください。
プラスの問いかけとは、このように子どもの考えや気持ちを聞こうとする問いかけです。
そうすると子どもは自分は大切にされている、認められている、愛されていると感じます。
このように感じる時、子どもは自らのうちに宿る『自己成長力』を発揮し、主体的・意欲的に物事に取り組むようになります。
普段の会話から「プラスの問いかけ」を意識して子どもの考えや気持ちを聞き、理解し、尊重するようにすれば親子の会話も前向きに変わってきます。
子どもにかける言葉が変わると子どもとの関係(親子関係)が変わってきます。
そして子どもとの関係が変わってくると子どもが変わってくるのです。
そのままを愛するとは変えようとしないということ
子どもに自信をつけ、やる気を引き出すために最も大切なことは「そのままを愛する」ということです。
なぜなら、それが最も自己肯定感を高めることになるからです。
自己肯定感とは何かが出来るから、自分が優秀だから、自分に能力があるから持つ自信とは異なります。
自己肯定感とは、自分にはダメなところもある、弱いところもある、だけど自分はこのありのままの自分が大好きだ。そしてこのありのままの自分で前向きに自分らしく生きていきたい、と思えることです。
子どもがそう思えるためにはまずは親や先生が「ありのままのその子」を肯定する必要があるのです。
「そのままの君が大好きだよ」
「そのままの君でいいんだよ」
といつも変わらない心からの言葉と態度でそう感じさせてあげることが大切です。
子どもが不登校になったら親はどうしても直したくなります。
でも、本当は直そうとするのではなく、その不登校のままのその子を愛することこそが一番の解決の近道です。
不登校は学校の先生には直せません。親にも直せません。家庭教師にもお医者様にも直せません。
ただ一人当事者であるその子だけが不登校を直せるのです。
私たち親や教師にできるのは、子どもが心の元気を取り戻せるよう、前に一歩踏み出せる勇気が湧いてくるように精神的環境を整えてあげることだけです。
私たち家庭教師はその子の「理解者」となるよう心がけています。
人間はわかってもらえたと感じる時、心にある変化が生じます。
心と心のつながりを感じると同時に安心感で満たされます。
それが落ち着きと客観性をもたらし、自分に向き合う力となるのです。
ありのままの自分を受け入れられるようになって初めて自分を変えられるようになるのです。
まとめ
・思春期の発達課題は「精神的自立」、それは「自己決定」である。
子どもが高校や大学、就職先を自分で決めることが大切。
・子どもへの普段の言葉がけで「プラスの問いかけ」を心がける。
そのことにより子どもが前向きになるだけでなく、子どもとの関係が変わってくる。子どもとの関係が変わってくると子どもが変わってくる。
・そのままを愛することが自己肯定感を高める。
人はわかってもらえたと感じる時、心にある変化が生じ、それが自分と向き合う力となる。
ありのままの自分を受け入れられるようになって初めて自分を変えられるようになる。
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< 最近行った講演会 >
2023年7月 島根県奥出雲町立布勢小学校
オンライン講演「自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5140240/
2023年7月 御津子育てつどいの広場
「子どもを幸せに伸ばす10の秘訣」
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2023年5月 神戸市立幼稚園PTA連合会
「子どもを幸せに伸ばす10の秘訣」
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2022年3月 ひめじ若者サポートステーション自立就職支援セミナー
「無業状態の我が子の自己肯定感を高める7つの方法」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5131238/
2023年2月 宮城県大崎市立古川第一小学校
オンライン講演「自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ』
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2023年1月 徳島県立人権教育啓発推進センター主催講演会
「子どもの自己肯定感を高める7つの方法」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5128247/
2022年12月 舞鶴市立加佐中学校区PTA教育講演会
「自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ」
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2022年11月 福岡県PTA連合会南筑後ブロック研修会
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https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5124364/