和歌山県田辺市で「いのちの大切さを子どもたちにどう伝えるか」を講演
8月9日(火)は千葉県館山市安房教育研究所で先生方を対象に講演してきました。
テーマは「自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ」。
講演1時間15分、質疑応答45分。
勉強する気もなければその必要性も感じていない中1男子がおりました。
そういう子に「勉強しなさい」と言ったり、こんこんと勉強の大切さを説いてみても一切無駄なんですね。
もうそれは経験上よ〜くわかっていますので「どうしたものか」と悩んでおりました。
ある日、その子が「先生のスマホにゲーム入れてくれへん?」と言ってきました。それでゲームを入れまして、二人で楽しく話をするようになりました。時には休憩中にオンライン対戦をしたりして盛り上がっていました。
そうすると不思議なことに少しずつ勉強するようになりテストの点数も上がってきました。
ここにやる気を引き出すヒントがあります。
「共感する」
つまり子どもが嬉しい楽しいと思うことを一緒に「喜ぶ」「楽しむ」ということです。
人は共感し合うと癒され、前向きな気持ちになります。
この前向きな気持ちが学習意欲につながります。
今お話ししたのは「喜び」の共感ですが、「不安」の共感にも同じ効果があります。
私の知人にスイミングスクールの神コーチがいまして、彼はどんなに水を怖がっている子でもプールに入れるんですね。
彼にそのコツを聞いてみると、プールに入るのが怖い子のそばに行ってこう言うそうです。
「先生もプール入るのん怖いねん。君もか。冷たいんかな。ちょっと一緒に見について来てくれへん。」
そう言って二人でプールサイドに行って「ちょっと水触ってみるわ。一緒に水触ってくれへん。」
そうして二人で水を触ったあと「先生、一人で入るの怖いから、君も一緒に入ってくれへん。」とその子に頼んで一緒にプールに入るそうです。
子どものやる気というのはこの「気持ちがわかってもらえた。通じ合えた。」「共感し合えた。」ところにあるのです。
これが共感の力です。
否定しない。批判しない。
この共感の力と同じくらい子どものやる気を引き出す力があります。
それが今日のテーマでもあります「問いかけ」の力です。
別名「聞く力」です。
私たち親や教師はついつい子どもに「勉強しなさい」と命令したり、自分たちの考えを押し付けがちですが、子どものやる気を引き出そうと思ったらもっともっと子どもの考えや気持ちを聞こうとして問いかける必要があります。
ここで皆さんに「問いかける目的と効果」についてお話しします。
1、子どもを理解しようとする姿勢を示す
2、子どもに考えさせることによって主体性が生まれる
3、自分で見つけた答えだから行動が変わる
1、子どもを理解しようとする姿勢を示す
子どもの考えや気持ちを理解しようとして「どうしたらいいと思う?」「どうしたい?」と問いかけることによって、その子に対する愛情と尊重する態度を示すことになります。
こういう姿勢で関わってもらうことにより子どもはその先生を信頼するようになります。つまり子どもとの信頼関係が築けるようになります。
2、子どもに考えさせることによって主体性が生まれる
「どうしたらいいと思う?」と問いかけることによって子どもは自分の頭で考えるようになります。
あの駅伝の強い青山学院大学の原監督の指導法が選手に考えさせる指導法なんですね。
「45分を切るにはどんな練習が必要か?どんな生活を送る必要があるか?」
「メンバーに入るには?」
「優勝するためには?」
そういうことを選手に考えさせるんですね。
そこに選手が受け身でやらされる練習ではなく、自分の立てた目標を実現するための主体的な練習が生まれます。
3、自分で見つけた答えだから行動が変わる
「どうしたらいいと思う?」と問いかけられて自分の頭で考えて「こうしたらいい!」と答えを自分で見つけられたら嬉しいしワクワクするし「そうしよう!」と思いませんか。
私の生徒で国語の読解問題が苦手な生徒がおりました。
「先生、国語ってどうやったら上がるの?」
「まずは大人の文章を読み慣れるようにしたらいいと思うよ。」
「大人の文章って?」
「新聞のコラムとか。」
「ふ〜ん、それを毎日読むとか?」
「そうそう。」
「先生、それ毎日書き写したら漢字の勉強にもなるし力つくんちゃう?」
「ナイスアイデアやん!」
そうしたらそれを実行して国語力ついて国語、5取れるようになりました。
やっぱり自分で見つけた答えだからこそ行動が変わります。
でも、このような効果を上げるためには「問いかけ」にもコツがありまして、それを今から皆さんに見ていただきます。
では、「子どもに対するプラスの問いかけ、マイナスの問いかけ」の資料をご覧ください。
ここまで共感の力やプラスの問いかけについてお話ししてきましたが、実はこれらは子どもの自己肯定感を育てる関わりでもあるんですね。
では、次の資料をご覧ください。
様々な具体的な事例をもとに解説していきました。
講演の最後の15分間は「自己成長力」についてお話ししました。
皆さん、この字「自然」をどう読まれますか?
そう。「しぜん」と読みますね。
でも、江戸時代までは「じねん」と読んでいました。
そしてその意味は「四季の移り変わりのような自然の動きや働き、生成発展。」でした。
その意味の中には変化し循環しながら進化していく、良くなっていくというニュアンスが含まれております。
西洋人でこの「自然(じねん)」の力に気がついた人がおります。
心理カウンセリングを創始したアメリカ人のカール・ロジャーズです。
彼はこの向上、発展、進化、適応、健康へと向かう力を「自己成長力」と名ずけました。
そして、この自己成長力を引き出すためには共感的理解と無条件の肯定的関心が必要であることを見つけ出しました。
この自然(じねん)の力、すなわち自己成長力が子どもの内に宿っています。
それを引き出す具体的方法論が「プラスの問いかけ」であり、「自己肯定感を育てる関わり」であり、心理カウンセリングなのです。
そのようにお話ししました。
その後、45分間質疑応答をしました。
たくさん質問していただきました。
小学校中学年担任の先生からこんな質問がありました。
「うちのクラスの子に戦国武将がすごく好きな子がいまして、授業中でも戦国武将の名前をノートに書いたりしてたんです。それでノートチェックの際に戦国武将の苗字、織田とか徳川とかの下に信長とか家康とかと書いてノートを返したら、その子がすごく喜んでくれて心を開いてくれたんです。だから今日の先生のお話もとてもよくわかりましたし、これで良かったんだと思えました。
でも、やっぱり授業中はその授業を集中して聞いてもらえる方がいいし、その・・学力もつけていきたいと思うのですが、そのバランスといいますか、その辺りをお聞きしたいです。」
「あなたが、ノートチェックの際に信長とか家康とか書かれたのは、ある意味教師の枠を出られてリスクを取られたということなんですね。先生であれば本来注意すべきところをいたずらに乗ったわけですから。
これは生徒からしたら面白い先生なんです。
先生が教師ではなく一人の個人として接してくれるなら僕も心を開くわということですね。
だけど、またちゃんと授業を聞かすには?
学力をつけさせるには?
と考えるということは教師の仮面を再び被るということです。
そうするとその生徒からすると『ああ、やっぱりね。先生はやっぱり先生の役割で接してくるんや』となるわけです。
せっかく戦国武将の名前書いてあげて心開いてくれたんなら、もうすこし付き合ってあげてもいいんじゃないでしょうか。戦国武将の話で盛り上がったらいいんじゃないでしょうか。そこから勉強頑張ろうになるとも限りません。安心して信頼できる関係を生徒と築いていくところに学習意欲も湧いてくるんだと思います。」
そのようにお答えしました。
皆さん、熱心に質問してくださいました。
最後にお一人お一人それぞれ違う詩をプレゼントしました。
< リンク >
教育講演・人権講演のテーマや内容、お問い合わせについては
http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/64075/
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子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
http://www.hariat.co.jp/ksg/
< 最近行った講演会 >
2022年11月 福岡県PTA連合会南筑後ブロック研修会
「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5124364/
2022年11月 三重県私立学校保護者会連合会研修会
「自信と意欲を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5124151/
2022年11月 舞鶴市立青葉中学校区PTA連絡協議会人権講演会
「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5123967/
2022年11月 高砂市立荒井中学校
「自分の可能性を開く7つの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5123130/
2022年11月 和歌山県橋本市立清水小学校
「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ」
https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5122986/