兵庫大学付属幼稚園での講演「子どもを幸せに伸ばす10の秘訣」

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会

 7月15日(木)は兵庫大学付属幼稚園で講演会がありました。
 検温、手指消毒、ソーシャルディスタンス、パネル板とコロナ予防対策はバッチリです。
 テーマは「子どもを幸せに伸ばす10の秘訣」
 約32名の保護者の方が参加して下さいました。
 


 

子どもからスキンシップを拒絶されて気づかされたこと


 大阪のある小学校で講演した際、一人のお母さんからこんな相談を受けました。
 「小学校1年生の男の子なんですけれど、私がスキンシップを取ろうとしたりハグしようとするととても嫌がって逃げ回るんです、どうしてでしょうか。そんな場合はどうしたらいいですか。」

 夫婦仲や実父母との関係をお聞きしましたが特に問題なしでした。
 そこでこうお尋ねしました。
 「ご主人のご両親との関係はいかがですか。」

 「おつきあいしていません。」

 よく聞いてみますとご主人のご実家とは絶縁状態で、この方がおつきあいを拒絶されているとのことでした。

 「そうでしたか。子どもさんはあなたからの接触を拒絶されているし、あなたは義理のご両親からの接触を拒絶されている。そっくりの構図ですね。
 あなたが子どもさんからスキンシップを拒絶されて寂しい思いをされ悩まれているように、ご主人のご両親も接触を断たれて寂しい思いをされているんじゃないでしょうか。それをその子が身を以て教えてくれているんじゃないでしょうか。
 この二つの問題はリンクし合っていて、あなたが義理のご両親を許してあげて、また仲良くおつきあいされるようになれば子どもさんも素直になってスキンシップを嫌がらないようになるかも知れませんね。」

 私がそのようにお話しすると、その方はハッと気づかれたような顔をされたあと「わかりました」と言って帰って行かれました。

 子どもの問題とばかり思っていたことが実は自分の問題だった。
 子どもはそれを身を以て教えてくれている。
 「あなたがやっていることはこういうことですよ」と。
 
 それに気づいて反省し自分を改めていくのなら子どもの問題も自然に消えていくことでしょう。
 
 

子どもから「待つ」ことを教わっている


 子育てというのは子どもを育てているようで親も育ててもらっているんですね。
 今、皆さんは何を子どもたちから教わっているのでしょう?
  
 それは「待つ」ことです。

 今、皆さんのお手元にある詩をご覧ください。
 


 子育ては「待つ」練習なんですね。

 急いては事を仕損じる、と申します。
 人を育てる人、スポーツの監督やコーチでも育てるのが上手い人は「待つ」のが上手です。
 待てない人は、育てるのが下手なだけでなく福を掴むのも下手です。
 「残り物に福がある」て言うでしょ。
 「待てば海路の日和あり」とも「果報は寝て待て」とも申します。
 それともう一つ申し上げると、
 「待つ」ことは大きな愛情表現でもあります。
 小学校の時、牛乳がどうしても飲むことができず昼休みも教室に残されていた女の子がいました。その女の子のそばには牛乳を飲むまで待ってくれている友達がいました。その友達がいてくれたおかげで女の子は苦手な牛乳を飲みきり、笑顔で運動場へと走っていく二人の姿を見かけたことがあります。
 一緒に帰るために校門の前で待ってくれる友達。
 九九が言えるようになるまで待ってくれる友達。
 「待つ」ことは愛情です。

子どもを幸せに伸ばす10の秘訣


1、子どもの自己成長力を信頼する。
(信じて待つ)

2、ありのままを愛する。
(そのままのあなたが大好き)

3、子どもを尊敬する。
(もうすでにあなたは素晴らしい)

4、子どもを親の思い通りに育てようとしない。
(自然にお任せする)*子どもは親の作品ではない

5、子どもの思い、ペース、自由を大切にする。
(あなたはあなたのやりかたで、あなたのペースで)

6、家族仲良くする。
(許し合う、笑い合う、かたいことは言わない)

7、子どもの話を聴く。
(関心を持つ)

8、子どもの存在を喜ぶ。
(生まれてくれてありがとう)

9、親が幸せである。
  (笑顔と感謝を持って暮らす)

10、家をのんびりできる場所にする。
  (心が安らぐ居場所)

子どもの自己成長力を信頼する(信じて待つ)


 私には3人の子どもと4人の孫がおります。
 その中には発達障がい傾向のある子もおりました。
 その子が3歳くらいの時でした。
 まず偏食がひどい。
 しかし苦手なものを無理に食べさせようとはしませんでした。
 幼稚園入園後、給食が出るようになると徐々に色々食べられるようになりました。
 次に癇癪がひどい。
 とにかく言い出したら聞かないので、その子の言う通りにしていました。
 望み通りにしてあげると癇癪を起こすこともなくなっていきました。
 あと同じ服しか着ない。
 同じ服ばかり着せていたら安心できたようで、自然にいろんな服を着てくれるようになりました。
 言葉が遅い。
 無理に言葉を教えようとせずに放っておいたら自然に喋れるようになりました。
 オムツが取れるのも遅い。
 無理にトイレトレーニングさせずに任せていたら幼稚園遊園後、本人の意思でパンツになりました。
 小学校に上がってからは、これらの悩みは全て消えていました。

 発達障がい特性は無理に直そうとせずに子どもに合わせて自然に任せていると消えていく、てことがよくあります。

 何故か?

 子どもがそれで安心できたからです。

 発達障がい傾向のある子はわがままで傍若無人で癇癪を起こすから怪獣みたいに思われていますが真実は違います。
 この子たちは人一倍、違和感に敏感で不安感が強いだけです。
 だから不安を取り除き、安心感を与えてあげたら、その子自身の自己成長力で発達障がいを乗り越えて行けるのです。それを信じて待つことが大切です。

 

ありのままを愛する。 (そのままのあなたが大好き)


 今日は皆さんに紹介したい絵本があって持ってまいりました。
 


 どんなお話なのかと言いますと、
 うさぎのバニー坊やがお母さんに尋ねます。
 「いい子ってどんな子?泣かないのがいい子なの?」

 お母さんは答えます。
 「泣いたっていいのよ。強くなくったっていいのよ。」

 「ばかなことばかりしている僕なんて嫌いでしょ?」
 とバニーが尋ねると
 「どんなにおバカさんでもバニーはお母さんの宝物。」
 とお母さん。

 何を聞いてもバニーのことが大好き、そのままでいいのよと言ってくれるお母さんにバニーは最後にこう尋ねます。
 「じゃあ、お母さんは僕がどんな子だったら一番嬉しい?」
 お母さんはにっこり笑って答えました。
 「バニーはバニーらしくしていてくれるのが一番よ。だってお母さんは今のバニーが大好きなんですもの。」

 おしまい。

 この絵本は実はおねしょを止める魔法の絵本と言われています。
 
 この絵本をお母さんの声で優しく読んであげて、読み終わったあとハグしておでこにチュッとして、ほっぺにもチュッとして「おやすみ」と言って寝かすとおねしょがピタリと止まると言われています。

 子どもの問題の80%以上は愛情伝達不足で起こっています。
 愛情不足ではありません。愛情はあるのです。
 でもその愛情を1日1回ちゃんと子どもに伝えているでしょうか。

 「今のそのままのあなたが大好き」

 1日1回愛する我が子にそう伝える機会を意識して持つ、ということが大切です。
 この絵本「いいこってどんなこ?」はその機会を与えてくれる素晴らしい絵本だということです。

 (その他の項目については時間の関係上お話しできませんでした。)
 
 

子どもからの3つのプレゼント


 子どもは生まれるときに3つのプレゼントを持って生まれてきます。
 一つ目は「愛する喜び」
 二つ目は「愛される喜び」
 三つ目は「愛する者どうしが共に暮らす喜び」

 

愛する喜び


 皆さんはお子さんがお生まれになられた時、どんなお気持ちでしたか。
 「生まれてくれてありがとう」でしょうか、
 「元気に生まれてくれた、良かった」でしょうか。
 元気に生まれてきてくれた、それだけで嬉しかった。
 それ以外、何も望んでいなかった。
 それだけで幸せだった。
 あの時の気持ちが無条件の愛です。
 あの時の気持ちのまま育てればいい。
 子育ての悩みは子どもに求める心から生まれてきます。
 もし子どもが元気であるだけで幸せを感じられるなら、子育ての悩みの8割以上は消えてしまうことでしょう。
 
 親は子どもを持って生まれて初めて自分の命より大切なものがこの世にあると知ります。
 もし、今の子どもたちに出会わなければこんなにあたたかくて美しい感情を持つことはなかったと思います。
 これは子どもたちから「愛する喜び」をプレゼントされたんですね。

 

愛される喜び


 子育ては悩みと不安と自己嫌悪の連続です。
 あるお母さんが色々なストレスから、思わずこんな言葉を子どもに投げつけてしまいました。
 「あんたなんか大嫌い!」
 子どもは目にいっぱい涙をためて、ダーっと走ってきてお母さんの足を抱いて、お母さんの言葉を打ち消すように言ったんです。
 「大好き、大好き、・・・大好き、大好き」
 こんな愛があるでしょうか。
 もしこの世に神様の愛があるとしたら、それは子どもが親に向ける愛です。
 無条件なんですね。
 だからいくら理不尽に怒っても「抱っこ」て言うでしょ。
 たとえ冷たく突き放そうと口汚く罵ろうと、夜になったら「ママと寝る」て言うでしょ。
 子どもたちはその度にあなたを許し、変わらずに愛し続けてくれていると言うことです。
 かつてこれほどまでに純粋に無条件に愛され、信じられ、必要とされたことがあったでしょうか。
 これは子どもたちから「愛する喜び」をプレゼントされたんですね。

 

愛する者どうしが共に暮らす喜び


 皆さん、結婚される方に「お幸せに!」とおっしゃいますね。
 どうしてそう言うのでしょう。
 それはこれから愛する者どうしが共に暮らすからです。
 皆さんはもうすでに愛するお子さんたちとお暮らしです。

 「幸せはなるものではなくて気づくもの」

 大切なのは幸せになるために努力することではなくて、もうすでに幸せであったと気づくことなんじゃないでしょうか。

 

許しあって、笑いあって幸せに暮らしていく






 子どもたちはそのままのあなたに会いたくて、そのままのあなたに育ててもらいたくてあなたの許に生まれてきました。
 ですから欠点もあるがまま、そのままのあなたで育ててあげてください。
 だけどママには笑っていてほしい、幸せでいてほしい。
 笑うためには許すことが必要です。
 誰を?
 自分をです。
 誰にでも欠点やダメなところがあると思います。
 皆さんにもあるでしょう。
 皆さんは自分を責めるのではなく、自分を許してください。
 そして自分を許したようにご主人やお子さんのダメなところや欠点を許してあげてください。
 そうすれば家庭に笑顔が生まれます。
 そうして皆さんが許し合って、笑い合って、幸せに暮らしていかれることを心より願っております。

 誠にご清聴ありがとうございました。

 
 

一人一人それぞれ違う詩をプレゼント


 講演の最後にお一人お一人それぞれ違う詩をプレゼントしました。





 皆さん大変熱心に聞いてくださいました。
 またお会いする日を楽しみにしています。
 最後に色々とお世話してくださったPTA役員の皆さん、
 本当にありがとうございました。



 
 < リンク >

 
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 http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/64075/

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 http://www.hariat.co.jp/ksg/

 
 

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発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

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