発達障がいの子の学習支援(指導)における5つの留意点
発達障害グレーゾーンの子の特性や困りごとは生まれつきの『不安気質』から来ていると考えると、彼らの行動の理解やその対応も見えてくるように思います。
不安になりやすいからこそ「小さな変化が気になったり」「こだわってしまう」と考えるととても納得がいきます。
特性にはある共通の傾向があって、たとえばひどい癇癪だとか、偏食だとか、同じ服しか着ようとしないとか、すぐに手が出るとか、・・。
それで親はその子を育てるのに大変な苦労や心配をするのですが、これらの特性や困りごとは『不安気質』の子に合った適切な接し方、関わり方によって日常生活に全く問題のないレベルにまで改善することができます。
そもそも、なぜそのような特性が共通して現れるのでしょう。
・ひどい癇癪
・偏食
・同じ服しか着ようとしない
・こだわりが強い
・人前や知らない場所を嫌がる
・すぐに手が出る
この子達は自分の思う通りや予想した通り、またはいつも通りでないときに不安に感じる度合いが他の子より強いのです。
だから、馴染みのない味や食感にも強い違和感を感じるので偏食になりやすいのです。
また「同じ服しか着ようとしない」のも、ちょっとした着心地の違いや袖丈の長さが気になるからだと考えられます。
こだわりが強いのも、いつも通りであれば安心だけれどもそこから外れると不安に感じるからだと考えればとても納得がいきます。
全て「不安」で説明するのには無理があるかもしれませんが、『不安気質』が特性や困りごとの背景にあると考えるとその対応策も見えてきます。
まずは「安心させてあげる」ことです。
それは「あなたはそのままでいいのよ」という言葉で表現される態度で接するということです。
つまり、その子の特性を理解し、受け入れるということ。
もっと言えば特性を無理に直そうとしないこと。
それが安心感を与える上で最も大切な点です。
発達障害グレーゾーン特性を改善する接し方
1、わがままやこだわりを受け入れる。
わがままに見えることやこだわりにもその子なりの理由があります。「ま、いっかー」と許し、受け入れることで子どもは安心します。
その子に合わすことで癇癪やパニックはぐっと減りますし、親も随分楽になります。
2、直そうとしたり、出来るようにしようとしない。
直そうとしたり、出来るようにと親が努力することは子どもにダメ出ししているのと同じことです。「ありのままのその子」を受容することであたたかく信頼し合える親子関係が築かれます。良好な関係やコミュニケーションが発達を支え促進しています。
無理のないところから慣れさせる工夫やちょっとしたきっかけ作りは必要なことなのですが、ついつい頑張りすぎて逆効果にならないように気をつけなければなりません。
3、叱らない。「ダメ!」など否定語を使わない。
発達障害傾向のある子は叱られることが大の苦手です。「ダメ!」の代わりに「ちょっと待って」と優しく声をかけて問題行動の裏にあるその子の思いを聞いてあげて下さい。「そういう時にはこうしてごらん」と代替行為を教えてあげることも大事です。
良い関わりや接し方を続けるためには
上記のような接し方を根気よく続けることができれば半年後、1年後には服へのこだわりが減ったり、偏食がましになったり等良い変化が見られるようになるのですが、それまで続けられるかどうかが問題です。
まず、大前提として発達障害グレーゾーン特性の改善は「その子本人の意欲」にかかっているということを理解してください。
いくら親や先生が熱心にその子の特性の改善に取り組んだとしても、その子にそこを改善していこうとする意欲がなければうまくいきません。
では、どうすればそのような意欲が湧くのか。
もともと人間には「もっと良くなっていこう」とする向上心が生まれつき備わっています。
これを心理学用語で『自己成長力』と言います。
自己成長力とは、人間に生まれつき備わっている発達・向上・健康・協調へと向かう力や傾向のことです。
この自己成長力という言葉、心理カウンセリングの創始者カール・ロジャースの造語です。彼はこのように述べています。
「人は周りの人から、関心を持たれている、大切にされている、認められている、理解されている、愛されていると感じるとき自らの内にある自己成長力を発揮し、主体的・意欲的に物事に立ち向かうようになる。」
それは全て上記の3つの接し方によって実現されるのです。
接し方が変われば子どもとの関係が変わります。
「安心し信頼し合える関係」
「愛情が感じられるあたたかい関係」
「助け合い、許し合う、優しい関係」
それが子どもを変えるのです。
良き関係が変えるものがもう一つあります。
それがコミュニケーション能力です。
関係がいいとその子にとってコミュニケーションが楽しいものになります。
コミュニケーションの楽しさや喜びを知ることは、その子のコミュニケーションに対する意欲を呼び起こします。
その意欲こそがコミュニケーション能力を高める鍵なのです。
< リンク >
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