「子どもも大人も自己肯定感を高める」京都府宇治市で学童保育の指導員さん研修会

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会

 2月3日(日)は京都府宇治市にある「ゆめりあ うじ」まで講演に行ってきました。
 学童保育の指導員さん対象の研修会です。 




 午前は子どもの自己肯定感を育むためにはどのような関わりが大切なのかを、具体的な会話術としてのテクニック面からと、そのテクニックが生まれる背景となっている考え方や関わりについてお話ししました。
 
 午後は自分自身の自己肯定感を高めるにはどうすればいいのかを「大人の自己肯定感を高める10の方法」の資料をもとにお話ししました。

 午前中のはじめに、こんなお話をしました。 

 みなさん、仕事とは「仕える事」と書きます。




 みなさんに今日考えていただきたいのは
 皆さんは一体誰に仕えていられるのかという事です。
 と言いますのも自分は誰のために仕事をしているのか、
 それによって仕事のあり方が大きく変わってくるからです。

 皆さんは誰に仕えておられるのでしょう?

 子どもを預けておられる親御さんでしょうか。
 お給料をもらっている市や自治体でしょうか。
 それとも目の前にいる子どもたちでしょうか。

 皆さんはどうお考えになられますか?

 これは仕事をする上で最も大切で、最も自覚しておかなければならない問題です。
 つまり私たちの目が一体どこを向いているのか、
 何を最も大切にして仕事しているのか、がそれによって決まってきます。


 子どもたち一人一人が安心して過ごせる学童保育とは?
 家庭や学校で辛い思いをしている子どもたちにどう寄り添えばいいか?
 言うことを聞かない子や指導が難しい子にはどう接すればいいか?

 そう自分に問いかけることはとても重要です。
 
 なぜなら、その子が親も先生も大人は誰も僕の気持ちなんかわかってくれへんかったと思うのと、
 あの学童の先生だけは僕の気持ちをわかってくれた、認めてくれた、僕のことを褒めてくれたと思うのでは雲泥の差があるからです。
 誰一人わかってくれないと絶望するのと、あの人だけは僕のことをわかってくれたと思えるのとでは、その子のその後の人生を変えるほど大きな差があるのです。
 これは見逃されがちですが、その子にとっては大きな問題です。

 だからこそ、
 その子の気持ちになって、その子の気持ちを理解しょうとして、
 どう関わることがその子の安心につながるのか、
 その子の助けになるのか、成長につながるのか、
 そういう視点で子どもに接することが重要なのです。
 そして、そのような姿勢で子どもたちに接するとき、
 学童保育という仕事は子どもたちのためにする「尊い仕事」になるのだと思います。




 そのあと子どもの自己肯定感を高めるための具体的な会話の例としてプラスの問いかけを紹介しました。

 ・ どうしたらいいと思う?
 ・ どうしたら出来るかな?
 ・ どうしたい?
 ・ どうして欲しい?
 ・ 何か手伝えることある?

 そのように子どもの考えや気持ちを聞こうとして問いかけると、子どもは自分は大切にされている、認められている、愛されていると感じます。
 このように感じるとき、子どもは自らの内に宿る『自己成長力』を発揮し、主体的・意欲的に物事に取り組んでいくようになるのです。

 次に「自己肯定感を育てる関わり」の資料をもとに、子どもの自己肯定感を育てるための関わり方や考え方をお話ししました。





 2、そのままを愛する(変えようとしない)では、このようなお話をしました。

 みなさん「自己一致」という言葉をご存知でしょうか?
 人間はふつう心の中に二つの自己を持っています。
 「現実自己」と「理想自己」です。





 このズレが一定以上に広がりますと「自己不一致」の状態になり、精神が不安定になります。
 
 人は理想自己を目標とし、そうなれない自分を責めたり、そうなれない自分を嫌悪したりしています。
 つまり理想自己を置くことによって心に葛藤が生まれ、本来向上や成長に向かうはずの心的エネルギーがその葛藤に使われてしまっているのです。

 実は理想自己を目指し、たとえ理想の自分になれたとしても、それは「成長」ではありません。
 「よりカッコイイ自分」になったとしても自分の本質は変わらず、ただ見かけが変わっただけだからです。
 これは横への移動であって、成長ではないのです。




 
 成長とは、心の葛藤が止み自己がありのままの自分である「現実自己」を受け入れて、それまで葛藤に使われていた心的エネルギーが解放され、進歩・向上・協調に向かうことです。

 人間として成長するためには、まずありのままの自分を受け入れる必要があるのです。

 そうしてありのままの自分を受け入れたとき、初めて自分の中で変えるべきものが何かが見えてくるのです。

 それが見えるためには心の葛藤を止めて心が安らいでいることが必要です。

 「理想自己」という幻想を捨て、ありのままの自分「現実自己」を受け入れることによって葛藤が止まります。
 それはわかりやすく言えば「弱い、かっこ悪い自分を許す」ということです。

 これが自己受容であり、自己肯定感です。
 そしてこれこそが成長なのです。



 

 午後からは、自分自身の自己肯定感を高めるにはどのようにすればいいのかを下の資料をもとにお話ししました。





 最後にこんなメッセージをお伝えしました。
 
 みなさんはもっとわがままになってもいいんじゃないでしょうか。
 もっと自分のためにお金を使い、自分のために時間を使い、自分の好きなことやりたいことをどんどんやったらいいと思うんです。
 そうして「ああ、ありがたいなあ。幸せやなあ。こんなに自分の好きなこと、やりたいことをやらせてもらえるのも夫のおかげ、子どものおかげと思えたら、家ではいつも笑顔で上機嫌でいられるのではないでしょうか。
 自己肯定感を高めるとはわかりやすく言えばそういうことです。
 そしてそれは夫の幸せ、子どもの幸せ、家庭の幸せにつながるのだと思います。
 

 午前の講義の後、主催者様のご厚意で拙著「あなたも子どももそのままでいい」の書籍販売をさせていただきました。
 おかげさまで完売しました。ありがとうございました。
 お一人お一人それぞれ違う詩もみなさんに手渡しでプレゼントできました。
 受け取ってくださってありがとうございます。

 またみなさんにお会いできる日が来ることを楽しみにしております。
 もし、研修に参加されていた方でこのブログをご覧になられている方がおられましたら感想等コメント頂けたら幸いです。




   < お知らせ >

 2月17日(日)は午後2時から奈良市でお話し会をします。
 奈良少年刑務所詩集「空が青いから白を選んだのです」の編者であり、新刊「あふれでたのはやさしさだった」の著者である寮美千子さんが主宰されている『れんぞ』でお話し会&寮さんとの対談があります。
 犯罪を犯した少年たちが心を開き、やさしさを表せるようになった「社会性涵養プログラム」。
 僕が家庭教師として接してきた子どもたち一人一人との関わり。
 その共通点をお話しする中で、人間としての成長の本質を感じ取っていただければ幸いです。
 ならまちのはずれにある『れんぞ』。
 午前中は奈良観光、お昼はならまちのおしゃれなお店で食べて、午後2時から参加してもらえれば充実した1日になると思います。
 あとで懇親会もあります。
 皆様とお会いして、ゆっくり語り合えることを楽しみにしております。



 主催者である寮美千子さんがフェイスブックのイベントページに案内を載せてくださいました。
 こちらです⇨https://www.facebook.com/events/320350492136436/

 <イベントページから引用>

 あなたのままで百点満点 自己肯定感を育てる親子関係のつくり方
   ~ 奈良少年刑務所の心をつなぐ17 ~
  主催: 奈良少年刑務所を宝に思う会、れんぞ/ならまち通信社

 長谷川満さんは、兵庫県加古川市の家庭教師派遣会社「家庭教師システム学院」の代表。いわゆる「できる子」の学業成績をのばすだけでなく、不登校や発達障害など、学校や学習になじめないでいる子どもたちについても数多く指導し、状況を改善しています。「子どもを変えるのではなく、子どもを見る親の視点を変える」ことで、子どもたちが本来持っている力を引き出すのだといいます。
さらに「まずは親への教育が必要」と、2006年からは「ペアレントセミナー」を主宰。講師として数多くの講演をなさっています。

奈良少年刑務所の「社会性涵養プログラム」でも重視された、「子どもの自己肯定感」をいかに育てるかについて、経験からお話しいただきます。

日時:2019年2月17日(日)14:00~16:00 ※終了後に懇親会
場所:ならまち通信社「れんぞ」
   奈良市中辻町1-1 ローレルコート奈良1F店舗
   (奈良町南観光案内所「鹿の舟」南向い)
・近鉄奈良・JR奈良から奈良市内循環バス「田中町」下車すぐ
・JR京終駅から徒歩8分
・近鉄奈良駅から徒歩20分
・奈良町南観光駐車場(コインパーキング)向い
料金:1000円(25歳以下は無料)/懇親会は別途500円
参加:要申込・先着30人(申込方法は上記)
主催:奈良少年刑務所を宝に思う会
問合:電話070-5024-9428(松永)

【メール・電話で申し込めます】
・メール…info@narapress.jp
・電話…070-5024-9428
 

 出演:長谷川満(家庭教師システム学院・代表)

 長谷川さんとの出会いは『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』 を読んでいただいたこと。
 わたしは、家庭教師とは親の望みを叶えるために子どもを調教する仕事だと思っていましたが、そうではありませんでした。その手法が、奈良少年刑務所で行なって成果をあげてきた「社会性涵養プログラム」にあまりに重なるので、驚きました。親ではなくて、子どもの味方として家庭に関わっていらっしゃる長谷川さん。子どもを信じることで、結果的に子どもたちの成績が上がり、引きこもりなどの問題も解決へ導いています。子育て中の方のみならず、あらゆる人間関係の構築に、そして自分自身の自己肯定感を高めることに役立つお話です。長谷川さんと話していると、さまざまな困難は乗り越えられることに感じられ、肩の荷が軽くなり、未来が光に満ちてきます。お楽しみに!
 

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長谷川満
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長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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