兵庫県加古川市立氷丘南幼稚園での講演会 「あなたのままで100点満点」
10月11日(木)は小野市立下東条小学校で5、6年生の児童とその保護者を対象に講演してきました。
最初に佐倉市立井野小学校5年生 山本花菜(はな)さんの「私の中のかいじゅう」という作文を紹介しました。(現在は小学校を卒業されています)
お母さんありがとう。私の中の小さなかいじゅうを、あたたかく見守ってくれて。
私の心の中には、小さなかいじゅうがいます。
普段はおとなしくしているけれど、しかられると、とつ然大きくなってあばれだします。
そしてお母さんを困らせて、またよけいにしかられます。
たとえば、弟とけんかした時、お手伝いをさぼった時、ついだらだらしてしまった時に、しかられます。
私はそんなに怒らなくてもいいのに、と思い、つい口ごたえしたり、たまに、泣いて大さわぎしてしまいます。悔しくて、悲しくて、もっと分かってほしいのに、と思います。
時に、足をドンドンとふみならして、お母さんなんて大きらい!とまで、思ってしまいます。
(中略)
どうしてだろう。
どうして自分の気持ちをおさえられないのかな。
お母さんのことが大好きなのに、どうして困らせてしまうのかな。
私がなやんでいると、お母さんが言いました。
「あのね、花奈の中には小さなかいじゅうが住んでいるんだよ。納得がいかないことがあると、すぐにあばれだすんだよ。でも、悪いかいじゅうではないよ。心が成長するのに必要なかいじゅうなんだよ。誰の中にもいるし、実はね、お母さんもまだこっそり飼っているのよ。」
(中略)
私はお母さんに言いました。
「でもさ、花奈のかいじゅうは、同じ年の友達よりも、少し大きめかもしれないね。」
それを聞いてお母さんは、大笑いしました。そして、
「花奈の中のかいじゅうも、好きだよ。」
と言ってくれました。私はほっとしました。
たくさん反こうするのは、悪い子がすることだと心配になったけど、かいじゅうがいるのはおかしなことじゃないんだ、と分かったからです。
でも私は、できるだけかいじゅうにあばれてほしくないです。
好きな本をじっくり読んだり、家族とたくさんおしゃべりしたり、愛犬と遊んだりすると、おとなしいままでいてくれることに気づきました。
私のかいじゅうは時々やっかいだけれども、どうやら長い付き合いになりそうだから、ずっと仲良くして行きたいです。
お母さんありがとう。私の小さなかいじゅうに気付いてくれて、好きだと言ってくれて、本当にありがとう。
子ども、特に女の子は発達の段階ですぐにキレたり、感情を爆発しやすい時期があるように思います。
5年生といえば早い子であれば、思春期の入り口にさしかかっている子もいます。
体も心も変化しはじめ、心は落ち着きをなくします。
こんなとき一番頼りにしている大好きなお母さんから、自分がダメだと思っている欠点を「ダメじゃない。それは誰にでもあることで、そのダメな部分も大好きよ。」と言ってもらえたらどんなに安心出来ることでしょう。
自信とか自己肯定感はこういう所から生まれるのだと思います。
自己肯定感とは、出来る自分や強い自分になって自分を肯定したり好きになったりすることではなく、自分の中のダメな部分も「ありのままの自分」として受け入れられるようになることなのです。
そのあと今回のテーマ「自信とやる気を引き出す親子関係のつくり方」についてお話ししました。
親が普段、子どもにかけている言葉ってどんな言葉でしょう?
「早くしなさい」
「もう宿題したの」
「何べん言ったらわかるの」
「いい加減にしなさい」
実は親が子どもにかけている言葉の8割以上は、注意・命令・禁止・叱責なんですね。
これでは子どもの自信や意欲は引き出せません。
なぜなら、これらの言葉は上からの一方通行で対話になっていかないからなのです。
自信や意欲を引き出そうと思ったらもっともっと子どもと対話しなくちゃ引き出せません。
ちょっと例を挙げて説明します。
中学生くらいになれば「なんで英語なんて勉強しなあかんの?」なんていう子がいます。
こんな時こそ「問いかけ」をするのです。
「どうしてやと思う?」
「えっ、海外旅行に行った時に困るからかなあ・・」
「たぶん英語ができなくても海外旅行はできると思うで。」
「じゃあ、仕事する時にいるからかなあ・・」
「そうやなぁ・・、ところで〇〇くんは将来何になりたいの?」
「スタントマン!ハリウッド映画でやるような国際的なスタントマンになりたい!
先生!ハリウッドってアメリカやろ。それやったら英語を話せなあかんやんな、先生。」
「ほんまやなあ。」
「先生、オレ、英語がんばるわ。」
このようにして子どもの考えや気持ちを聞こうとして問いかけていくと対話が成立して、そういう対話の中で子どもが自分で答えを見つけていく。
それは親が一方的に押し付けた意見ではなくて子ども自身が自分で考えて自分で出した結論ですから子どもの行動も変わる可能性大なんですね。
それだけじゃなくていつもそういう風に子どもの意見を聞こうとして問いかけていると子どもは自分で考えるようになるし、自分で出した結論に責任を持つようになります。つまり子どもの主体性を育むことになるんですね。
また頭ごなしに叱らずに子どもの気持ちや考えを理解しようとして問いかけることによって、その子に対する愛情やその子を尊重する姿勢を示すことになります。それが親子の信頼関係を築くことにもつながります。
そのあと具体的な実例やエピソード、ドラえもんのお話や絵本なども紹介しながら「自信と意欲を引き出す親子関係の作り方」をお話しました。
講演の終わりに保護者の方にも5、6年生の子どもたちにも一人一人違う詩をキロロの「未来へ」の曲にのせてプレゼントしました。
質疑応答の時に、子どもたちからたくさん詩について質問がありました。
「いつから詩を書くようになったのですか?」
「自分が一番好きな詩はなんですか?」
15分くらいでしたけれど子どもたちに詩の授業をしているようでとても楽しく、嬉しかったです。
講演会に参加してくださった皆様、ありがとうございました。
お世話くださったPTA役員の皆様、講師に選んでくださった研修部のT様、事務的なやりとりでお世話になった先生、教頭先生、お世話になりました。
機会がありましたら、ぜひ呼んでください。
またお会い出来る日を楽しみにしています。
< リンク >
講演会の講演依頼.com|長谷川満 プロフィールページ
https://www.kouenirai.com/profile/3820
システムブレーン|長谷川満 プロフィールページ
https://www.sbrain.co.jp/keyperson/K-7816.htm
教育講演・人権講演のテーマや内容については
http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/64075/
子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
http://www.hariat.co.jp/ksg/
長谷川満の見方が変わる相談室
http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/448895890.html