親学10か条 その7、子どもの話を聴く
自己成長力とは、生まれつき人間に備わっている「 自ら成長、進歩、向上していこうとする力 」のことで、例えば赤ん坊は何も教えなくても、時期が来れば、自然に寝返りを打ちたい衝動にかられ、何度も寝返りを打とうと試みるようになります。そして、寝返りが打てるようになれば、今度はハイハイをしようとするようになり、ハイハイができるようになれば立とうとし出します。
この「 もっと進歩していこう、もっと向上していこう 」とする衝動が人間をどんどん成長、発達させていくわけです。(この衝動は「 善くなっていこう 」という精神的な成長も含んでいますので、「 善性 」とも呼ばれます。)
ですから、子どもの知性や身体能力、道徳性を伸ばそうとするなら、この自己成長力が発揮されやすい環境を整えるということが大切です。子どもの心身の成長発達にとって、親子関係を中心とした心理的環境がもっとも重要であり、子どもが
「自分はありのままで親から十分に愛され大切にされていると感じ安心していられる」とき自己成長力は正常に活発に働きます。
本来、この自己成長力という言葉は心理学用語であり、カウンセリングの創始者カール・ロジャースが言い出しました。
彼は、心理的に問題を抱えたクライアント(相談者)が、
「ありのままの自分を受け入れてもらえ、
温かく好意的な雰囲気の中で、
自分や自分の話に関心を持って聞いてもらっている、
自分の気持ちをわかってもらえている」と感じると、
その人は
「安心してありのままの自分や自分の気持ちを出すようになり、
そうなると自分でも気づいていなかった自分の感情に気づいたり、
見えていなかった自分の姿が見えてきて、
そうして自分が今まで嫌っていた自分のダメな所や弱い所も受け入れられるようになる」ことを発見します。
つまり、カウンセラーがクライアント(相談者)に対して、
温かくそのままを受け入れ、共感的に理解してあげる人間関係を提供すれば、
自然治癒力が活性化して病気が治るように、
自ら自己成長力を発揮して心理的問題を乗り越えていくようになる。
しかも乗り越えたあとは以前よりも精神的に成長している。ことを発見します。
クライアント(相談者)にとって必要なのは、カウンセラーとクライアントとの間の温かい人間関係であり、それがクライアントを癒し、自己成長力を活性化し、心理的変化、成長をもたらす・・。
では、心理的に健康な者が、そのような温かくて受容的な人間関係の中に置かれたら・・?
「 その人が本来持っている個性や才能を発揮し、自己実現していく 」
そう確信したカール・ロジャースは、治療的なカウンセリングだけでなく、問題を抱えていない個人が「ありのままの自分を受け入れていくこと」を助け、自己実現してけるような心理学の必要性を説きました。
普通の人が、もっと精神的に成長し、自己実現的になり、人も自分も幸せにしていくような心理学。
それを彼は「 人間性心理学 」と名付け、人間としての更なる成長、進化があることを示しました。
子どもを良くしようとするのではなく、
子どもの自己成長力を信頼し、
子どもの気持ちを理解しようとし、
愛情と関心を持って関わる。
その関わりが子どもの成長を助け、子どもの自己実現を助けます。
ただし、そういう関わりが出来る為には親自身が、「ありのままの自分を受け入れていること」が必要です。
そして、それはいっぺんに出来るようになるわけではなく、子どもを育てていくなかで、様々に悩み、迷い、そして気づいていくことで出来るようになるのだと思います。
そうして親も子も共に成長していく。
子どもたちは、こんな欠点だらけの私たちのありのままを受け入れ、愛してくれています。
本当にそのことに気づければ、ありのままの自分を受け入れることも、ありのままの子どもを受け入れることも、それほど難しいことではないように思います。
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