立場が変わっても、やはりお墓は必要ありませんか?

能島孝志

能島孝志

テーマ:供養

「私が死んだら葬式もいらない」


「お戒名もいらない」


「お骨は海に撒いてくれ!」


近年、このような言葉をときどき耳にするようになりました。


このように言われる親御さんたちからすれば、
息子さんや娘さんのことを考えての言葉なのでしょう。


もしも…?

でもですよ!…


世の中には、病気や事故、また、戦争や災害で、
息子さんや娘さんを亡くされている方もいらっしゃいます。


もしもですよ?!…


葬式も!お戒名も!お仏壇も!お墓も!いらない。
…と言われていた方々の息子さんや娘さんが、
自分たちより先に亡くなったとしたらどうですか?


葬儀も挙げませんか?


家でお仏壇に手を合わすこともしませんか?


お墓も建てず、お骨は海に撒きますか?


きっと、今の考えと違い、きちんと供養されるかも分かりません。


子どもを亡くしたから悲しい。親だから亡くなっても悲しくない。
そんなことはありません。命の尊さは老若男女を問わず、みんな同じです。


自分の大切な家族が亡くなって悲しまない人はいないでしょう。


日本政府の戦後慰霊事業

日本政府は戦後慰霊事業として、海外で戦死し放置されたままになっている、
遺体や遺骨を収集活動をしていますが、まだ完了していません。


戦後70年以上を経過した今なお、帰国できない遺骨があるのです。


また、北方四島にも日本人の墓地があり、いまだに墓参りができない人もいます。


近年では、2011年に発生した東日本大震災の津波の影響で、
依然として見つかっていないご遺体もあります。

そう考えると、お墓があること、お墓参りができることは、
悲しい中でも、極めて幸せなことだと言えるのではないでしょうか。


お骨を海に撒いたら、二度と帰ってこないのですよ。


公営の合葬墓は、何千人、何万人という見ず知らずの人と、
一ところに一緒にお骨を納められてしまうのですよ。


ご先祖様とゆっくり語り合える場所こそがお墓なのですよ。



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能島孝志(1級お墓ディレクター)

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