知っていますか?意外と多いお墓のトラブル(5・最終話)「墓石の公正競争規約」の施行までの流れ
~以下のコラムからの続きです~
「(1)国民生活センターへの相談件数は年間1192件! 」では、
一般消費者の方々が考えている以上に意外と多い、
お墓・墓石のトラブルについて書かせて頂きました。
「(2)どんな内容のクレームが多いのか?」では、
実際に、国民生活センターに寄せられている、
トラブルやクレームの内容をご紹介いたしました。
この章では、このようなクレームをなくすための施策として、
「墓石の公正競争規約」についてご説明いたします。
公正競争規約とは?
公正競争規約(景品表示法第31条に基づく協定又は規約)とは、
景品表示法第31条の規定により、公正取引委員会及び、
消費者庁長官の認定を受けて、事業者又は、事業者団体が、
表示又は景品類に関して自主的に設定する業界のルールです。
一般消費者に対する利益を保護するためには、
商品・サービスの選択に必要な情報が正しく提供されること、
そして、過大な景品類が提供されないことが大切です。
「安いから…。」「景品がもらえるから…。」
という動機でお店へ行ったり、買物をしたりすることがあります。
広告宣伝は、消費者を獲得しようとする大きな力となります。
本来の販売競争の姿は、品質と価格による競争であるべきですが、
一つの業者が誇大な広告宣伝や過大な景品提供を行うと、
他の業者も誇大な広告宣伝や景品の額による競争に陥りやすく、
しかもこのような競争は、影響が徐々に広い範囲に及びやすく、
繰り返されやすいという性格を持っています。
例えば、ある業者が1万円の景品付き販売を実施すれば、
競争相手は3万円、5万円とより多額の景品をもって対抗する、
というように次第にエスカレートしていきます。
また、表示についても、果汁が10%しか入っていない飲料に、
ある会社が自社の製品に「果汁たっぷり」という表示すれば、
他社は「搾りたての果汁」等と表示して対抗しがちです。
そこで、不当な表示や過大な景品類の提供による競争を防止し、
業界大多数の良識を「商慣習」としてきちんと明文化し、
この商慣習を自分も守れば、他の業者も守るという保証を与え、
とかくエスカレートしがちな不当表示や過大な景品類の提供を、
未然に防止するというところに公正競争規約制度の目的があります。
お墓に関するトラブル・クレームの解決に向けて
お墓の業界には、建築基準法のような法律はありません。
したがって、墓石工事の際に基礎工事をしなくても、
誰からとがめられることもなく罰則もありません。
墓石に使用する石に、好き勝手な名前をつけても構いません。
日本の石を中国で加工し、逆輸入した墓石であっても、
堂々と「国産墓石」で販売しても何も問題ありません。
これらの様に、墓石を販売する上においては規定法律がなく、
各石材店のモラルにゆだねられているのが現状です。
それが結果的には、第1章、第2章でご紹介させて頂いたような、
数多くのお墓トラブルを引き起こしている原因にもなっています。
これらの墓石に関するトラブル・クレームの解決に向けて、
全国の石材関連業者約1300社が加盟する業界最大の団体である、
(一社)日本石材産業協会(東京都千代田区神田多町2-9)では、
白木秀典副会長を委員長とする公正競争規約検討特別委員会を設置し、
「墓石の公正競争規約」の施行に向けて活動を続けております。
消費者の方々に安心して石材製品をご購入いただけるよう、
石材製品やサービスの品質、産地を分かりやすくするために、
墓石製品の産地表示・品質表示について規約を設け、
トレーサビリティ(※)を明確にすることを目的としています。
※ 「トレーサビリティ」とは?
英語のtrace(追跡)と、ability(できること)を、
組み合わせた言葉で、「追跡可能性」「生産履歴追跡」を意味します。
製造業においては、原材料調達・部品調達から、
加工、組立、流通、販売の各段階において、
製造者・仕入先・販売元などを記録保管し、
消費者が手にする製造物の製造履歴を、
追跡できるようにすることが目的となります。
では、お墓のトラブル・クレームを少なくするためには、
具体的にどのようなルール作りをしていく必要があるのかを、
次の章で詳しくご説明させて頂きたいと思います。
~つづく~
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