安い国産墓石にはご用心
いまあるお墓から遺骨を取り出して、別のお墓に移すことを改葬といいます。
どのような場合に改葬するのかといえば「お墓が遠くてお参りやお手入れがままならない場合」「昔からある個人墓や夫婦墓を一つの代々墓にまとめる場合」「供養をする人がいなくなるので墓じまいをする場合」などがあります。
自分の家のお墓の中にある遺骨を動かすのだから引越しの様に自由に出来そうなものですが、改葬にあたっては、個人が勝手に行うことはできず、自治体の許可が必要となります。
改葬には墓地の管理者の協力が必要
改葬は「墓地、埋葬等に関する法律」に従って手続きを行いますが、それ自体は難しいものではありません。
現在のお墓の所在地の市区町村役場の窓口やホームページから「改葬許可申請書」を入手し、必要事項を記入の上、新しい墓地の「受入証明書」と、既存の墓地の「埋葬証明書」を添えて提出し、「改葬許可証」を交付してもらいます。改葬許可申請に関する書類の書式は自治体ごとに異なりますので注意してください。(参照:http://mbp-japan.com/hyogo/daiichisekizai/column/21554/)
「埋葬証明書」は、これまでの墓地の管理者に発行してもらうものです。
公営墓地や民営墓地の場合は問題ありませんが、寺院墓地の場合は檀家を辞めるということになりますので事情が違います。
先祖代々お守りしてくださったお寺に敬意を払い、引っ越し先を決める前にお寺に相談し、了解を得ていただくことをおすすめいたします。
お世話になったお礼に、ある程度のお布施を包むのが一般的です。金額については地方によって、あるいはお付き合いの度合いによって変わってくるかと思います。
移転をするか、新しく建てるか
お墓を移転する場合、先祖代々の墓石をそのまま移転する場合と、新しく墓石を建てる場合、墓じまいをして永代供養墓に移す場合の三通りがあります。
どのような方法を選ぶかによって、費用はそれぞれ異なってきます。
引っ越しは、新しく建てるよりも安くすむとお考えの方もいらっしゃいますが、撤去作業の難易度や輸送の距離によっては、それ相応の費用がかかりますので、近い将来、補修が必要になるような極端に古いお墓は、引っ越しの機会に新しいお墓にしたほうが良い場合もあります。
それでも先祖代々の墓石を使いたいという場合は、古い墓石を持ち込みできる墓地を選ぶ必要があります。基本的に公営墓地・霊園は古い墓石の持ち込みはOKですが、民営墓地・霊園に関しては、新しくお墓を建てる以外は認めていないところが大半です。寺院墓地については、事前にご住職に相談した方が良いでしょう。
引っ越しにかかる費用
引っ越しにかかる費用は次の通りです。
●離檀料・お布施
寺院の檀家を辞めるときに支払う料金です。
●墓石の解体撤去費用
カロートから遺骨を取り出し、更地に戻す費用です。お墓の大きさや構造によって1㎡あたり10~30万円あたりが妥当な金額かと思いますが、建設車両が乗り入れできない場所や、対応エリア外となると、工事日数にもよりますが、さらに費用がかかる場合もあります。いずれにしても、石材店に場所を見てもらい見積りしてもらうのがベストでしょう。
●墓石の運搬費用
100㎞の移動で15~20万程度が一般的です。距離によってはかなり高額になりますので、正式に依頼する前に見積もりを出してもらうことをおすすめします。
●新しいお墓の費用
永代使用料、年間管理費、墓石、工事費用など
●閉眼法要・開眼法要
遺骨を取り出す前には仏式では閉眼供養を行い、移転先のお墓では「開眼法要」「納骨法要」を行います。
先祖代々のお墓を片付けるのは大変な決心と、労力、費用が必要です。寺院やご親戚などとのトラブルがないよう、スムーズに進めていただきたいと思います。