デザイン性あふれる文字を彫刻したお墓
日本における伝統的な墓石のカタチといえば、台石の上に竿石(棹石)と呼ばれる塔状の石を建てた和型墓石であり、今も多くの墓地・墓所に建てられています。
近年では竿石(棹石)をはじめ、全体的に高さを抑えた形状になっている「洋型墓石」もポピュラーな型になってきています。今回は、洋型墓石のメリットを含め、その解説をしたいと思います。
高さが低い=安定性がある=地震に強い洋型墓石
洋型墓石は、竿石(棹石)の部分が横長の箱のような形になっている『ストレート型』と、石の前面が斜めになっている『オルガン型』が最もオーソドックスな形となっています。
この形を基本として、上部を丸くしたり、その他さまざまなデザインを施したりしますが、洋型墓石の最大の特徴でありメリットといえば、その安定性です。
竿石(棹石)を支える上台(中台)、下台ともに広く、竿石(棹石)とのバランスを含めて全体の高さが低いため、地震などの揺れが起こっても倒れにくい、万が一のことがあっても倒れない墓石というのは、それだけでも建てる際の安心感につながります。
とはいえ、和型墓石が倒れやすいかと言うと、必ずしもそうではなく、和型墓石でも耐震・免震施工を施せば十分安定性の高い墓石になります。ただ、耐震・免震施工と言っても数多くの製品や工法があり、その効果も様々ですので、事前によく調べておくことも大切です。
ちなみに、私ども第一石材では、“震度7”に対応した墓石免震ゲル「安震はかもり®」を採用しております。特殊ウレタン素材を使用し、通常のゲルとは製造方法、材料なども異なり、衝撃吸収性に優れており、なおかつ可塑剤を一切使用していないため真夏時の高温による溶解もなく、油染みも出にくい製品です。(参照:http://www.daiichisekizai.com/earthquake/)
他メーカーから販売されている墓石用免震ゲルの多くはシリコン素材のものが一般的で、 「ウレタンより、シリコンの方が耐久性に優れている」という内容を謳っていますが、 シリコンには衝撃吸収性がほとんどありませんので、免震(吸震)を目的とした製品としては決して優れているとは言い難いものです。
メンテナンスのしやすさも特徴
和型墓石は搭状になっている竿石(棹石)の特徴から、高いものでは地面から2mを超えるものもあり、背の低い方や女性には掃除やメンテナンスが難しくなってしまう場合もあります。
その点、洋型墓石は全体的に横長の形状のものが多く、外柵のしつらえにもよりますが、高さもおおよそ1m~1m50cmのものがほとんどとなり、竿石(棹石)の上にまで手が届くため、女性やお子さまでも掃除やメンテナンスがしやすいのも大きなメリットです。
シンプルなのにモダンな印象を与える洋型墓石
形状が与える印象ももちろんですが、洋型墓石はシンプルながらもどこかモダンな雰囲気を漂わせるため、近年新たにお墓を建てられる方々に人気が高いのもうなずけます。
そのため、竿石(棹石)の前面彫刻には家名はもちろん、お好きな言葉を彫刻されてもしっくりくるデザインとなっています。
和型墓石と比較すると、竿石(棹石)の面積が広いことから、前面彫刻の文字数が多くなる、すなわち表現の幅が広がります。ただ、自由とはいっても、建てた方の好みで文字を入れると代替わりした際、その時代や世代にマッチしないこともありますので、竿石(棹石)に彫刻する文字はよくよく検討してから入れられるのが良いと思います。
また、墓地・墓所によってはある程度、形や文字などにも制限がある場合もありますので、事前に確認しておくことが大事です。