「大島石墓石」の価格・ランク・品質を徹底解明!(10)大島石墓石とインド産墓石が同じ値段?

能島孝志

能島孝志

テーマ:日本の銘石

(1)大島石とはどんな石?
(2)大島石にはランク・等級があるのか?
(3)大島石特級でお墓をつくれば安心なのか?
(4)大島石墓石は本当に国産?
(5)日本と中国でつくる大島石墓石の素材の違い
(6)日本と中国では加工・製作方法が違う!
(7)日本と中国では磨きが違う!
(8)日本と中国で加工精度が違う!
(9)国内加工と中国加工とでは見分けがつくのでは?

上記のコラムからのつづきです


(10)大島石墓石とインド産墓石が同じ値段?


大島石墓石とインド産墓石の値段が同じってどういうこと?


いくら中国の石材加工工場でつくられる大島石墓石が安価だからといっても、
同じく中国でつくられるインド産石材の墓石と値段が同じというはずはない…。

…と、多くの方は思われるかも分かりませんが事実なのです。

私の地元、神戸市ではお墓を建てる場合の石材の選択は、
墓石本体の石種と霊標(墓誌)・外柵等の付属品の石種を同一にするか、
または、付属品に同系の色目・石目の石材を使用するというのが一般的です。

例えば、インド産の人気石種「アーバングレー」を選んだ場合には、
墓石本体、霊標、外柵等に至るまでの石種を全てアーバングレーにします。

極めて硬い石質と、低い吸水率を誇るインド産石材は人気が高く、
ここ2、3年前から、ほとんどのインド産石材の原石価格が急騰しています。

アーバングレーも例外ではなく、品質の良い原石を技術力の高い工場で加工すれば、
円安の影響もあり、2年ほど前と比較すると25%〜30%ほど値上がりしています。

価格高騰がつづくインド産石材
▲インド産石材を専門に取り扱う、中国の石材加工工場


ところが、大島石を中国で加工する場合、技術力の高い工場で加工することは稀です。

もちろん福建省・崇武地区の技術力の高い工場でもつくられていますが、
これまでのコラムにも書かせていただいたように、
日本国内の技術力の高い工場でつくられる大島石墓石とは根本的に異なります。

先ずは、中国に送られる大島石の原石で良いものは極めて少ない。
(5)日本と中国でつくる大島石墓石の素材の違い

中国の工場でで見かけた大島石
▲中国で見かけた有名丁場の大島石(石は良くない)

次に、いくら中国の技術力の高い工場でつくられる大島石墓石であっても、
安くつくることが最大の目的である「中国産大島石墓石」は、
日本国内の技術力の高い工場でつくられるものとは加工方法が異なります。
(6)日本と中国では加工・製作方法が違う!

そして、最終工程である磨きの丁寧さが日本と中国では異なります。
(7)日本と中国では磨きが違う!

日本の技術力の高い石材加工工場では、コンピュータ制御の自動研磨機を使い、
8〜9工程の砥石による磨きを経て、最後にバフによる研磨を行いますが、
中国で大島石墓石を加工する場合は、通常5工程+バフというのが一般的です。

また、中国で加工・製作される大島石墓石のカタチは、
ほとんどの場合、「神戸型」「大阪型」「京都型」など、
基本のカタチが決まった墓石で、違うのはサイズだけです。

それゆえ、中国国内でも比較的技術力の高い、福建省の工場でつくるより、
技術力は若干劣るが、少し安いコストで加工・製作が出来る、
中国東北部の遼寧省・大連市付近の石材加工工場で数多くつくられています。

大連の石材加工工場は、福建省の工場のように、デザイン墓石の製作等、
複雑で高い技術力を要する加工には、ほとんど対応しておらず、
定型の和型墓石や外柵等を中心に加工・製作をしています。

製品の加工精度は、福建省の石材加工工場と比べると若干劣りますが、
価格が安いため、低コストでの製作が最重要項目である、
中国加工の大島石墓石製作の拠点としては好都合なのかも分かりません。

こうしてつくられた低価格の大島石墓石が神戸で販売される場合、
戒名等を刻字する霊標(墓誌)は大島石(同じく中国加工)を使用することもあるが、
外柵等の付属品には、大島石似の安価な中国産石材を使用するのが一般的です。


アーバングレーか中国加工の大島石かどちらを選ぶ?


そうすると…

①墓石本体から外柵までのすべてを、最高ランクのアーバングレー原石を使用し、
 数ある中国の石材加工工場の中でも、極めて技術力の高い工場でつくった墓石セット。

インド産、アーバングレーの墓石
▲全てを良質のアーバングレーで製作した墓石


②墓石本体と霊標は、中国・大連の比較的安価な工場で加工・製作された大島石墓石、
(中国に送られる大島石の原石は、当然、良い石ではありません)
 外柵等は、一見大島石に似た、中国・福建省産の安価な御影石「AG98」を使用。

この、①と②の製造原価は、ほぼ同じか、大島石墓石の値段次第によっては、
②の「中国加工・大島石墓石セット」の方が安いコストでつくることが出来るのです。

さて、一般消費者からすれば、①のアーバングレー墓石セットと、
②の大島石墓石セットが同じ値段なら、どちらを選ぶでしょうか?

中国で加工される大島石墓石がどんなものかを詳しく知らない消費者ならば、
やはり、国産と言うだけで②のセットを選ぶ人が多いのでは思います。

…という以前に、大島石が中国で加工されているかどうかも、
石材店の営業マンから聞かされていないかも分かりません。


どちらを選んだ方が良いのかは、次のコラムに書かせていただきます。




          ~つづく~




『墓石大賞』受賞・5度の実績!
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専門家

能島孝志(1級お墓ディレクター)

株式会社第一石材

「お墓はどこで建てても同じ!値段もたいして変わらないだろう?」なんて思っていませんか?建ててからでは手遅れです。一般消費者には分かりにくい、お墓の悩みを「1級お墓ディレクター」の能島孝志がズバリ解決!

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