日本一の銘石「庵治石」のすべて(8)庵治石が希少価値となる所以

能島孝志

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テーマ:日本の銘石

(1)「庵治石」ってどんな石?
(2)鉱物学的に見る庵治石の特徴
(3)庵治石の種類
(4)庵治石の産地と歴史
(5)最高の庵治石は、「大丁場」から
(6)庵治石の各丁場
(7)庵治石の鉱物鮮度

上記のコラムからのつづきです


8.庵治石が希少価値となる所以



庵治石の中でも最も良質の「庵治石細目」が採掘される大丁場付近では、
年間約3720t(日本石材産業協会・平成16年調べ)の庵治石が採掘されますが、
その内、墓石、燈籠、彫刻品などの製品材料として使用されるのは、
採掘された庵治石の全体量のわずか3~5%程度しかありません。。

その他の石は、建築用の基礎石、庭石、石垣を築く築石(つきいし)、
そして、土木用として、護岸工事の埋め立て用などに使用されます。

庵治石は、なぜこのように、採石される量に対して、
墓石等の製品として使用される割合が少ないのかというと、
庵治石の採石丁場は他の石の採石丁場と比べると、
岩盤に入っている亀裂が非常に多いため、大きな石が採れにくいのが要因です。


庵治石の「かさね」「二番」

庵治石の岩盤に入っている亀裂についての呼び名は、
庵治石の採石丁場だけで使用されている独特の用語で、
南北方向の亀裂が「かさね」、東西方向の亀裂が「二番」と呼び、
水平方向のものは「目」と呼ばれています。

この、「かさね」と呼ばれる亀裂のほとんどが縦方向に、
「二番」と呼ばれる亀裂は横方向に走っています。


庵治石の「かさね」

これらの石の状態のことを、「かさね肌」「二番肌」と呼びます。

そして、「かさね」「二番」「目」には、それぞれキズといわれる筋があり、
それぞれ「かさねキズ」「二番キズ」「目キズ」と呼ばれております。

キズには、他に、「青タン」「白キズ(こもりキズ)」
ダイナマイトによる爆破の「発破キズ」と呼ばれるものもあります。

また、キズではないのですが、一般的に「ナデ」と呼ばれる、
帯状に流れる模様が、石の表面に現れるものもあります。

この模様は、極めて美しく、珍しい図柄のものもありますが、
探して思い通りの図柄を見つけることができるといったものではありません。

近年では、この偶然にして現れた美しい柄目の石を上手く組み合わせてつくる、
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かさね


瀬戸内火山の活動期に、南部方向が高く、北部方向が低くなるような、
四半球状の急激な曲隆(地殻が穏やかに上方にたわむこと)により、
北側部分に放射線状の亀裂が生じました。

この筋は、南北にほぼ縦方向に走っており、
この亀裂が庵治石の産地にも起こり、
庵治石丁場の独自の言葉で「かさね」と呼ばれています。


この部分は、石割作業において最も割りにくい面方向でもあります。


「かさね肌」は、石を原石から切断する工程で見つかるので、
出来上がった製品に、このキズが残ることはほとんどありません。


二番


「かさね」に対してほぼ垂直方向(横方向)に入っている筋を「二番」といい、
石割り作業においては「かさね」の次に割りにくいとされています。

「二番肌」もかさね肌と同様に、切削や研磨工程の段階で発見されますが、
まれに判りにくいキズがあり、まれに石職人の目をくぐり抜け、
製品になってしまうこともありますので出荷の段階でのチェックを要します。



地盤に対して水平方向にあり、一番割れやすい方向でもあります。



その昔から『庵治石は玉石』という言葉が伝えられているように、
明治時代の初期頃までの採石方法として、山の花崗土を除去して、
玉石(玉状の石)の庵治石を取り出していた頃は、
土中から彫り出した石が良質な「庵治石細目」であれば、
その下にある岩盤も良質な「庵治石細目」であり、
また掘り出した玉石が「庵治石中目」であれば、
その下の岩盤も「庵治石中目」であるとされていました。

庵治石は、「中目」が採石される場所には、
比較的キズが少ないため大きな石が採石されやすいが、
「細目」が採石される場所にはキズが多いため、大きな石は採石されにくく、
中目に比べて小さな石しか採石されないといわれています。

一般的に、庵治石の丁場は他の石の採石丁場と比較すると、
キズが多いため、それぞれの筋に沿ってキズをよけながら、
キズの無い部分を岩盤から切り出すため作業効率が悪くなります。

また、採石された石を加工する段階においても、
原石の状態では見えていなかったキズ等が出てくる場合もあり、
黒玉やナデの問題、石目・色目合わせの難しさ等々、
製品に仕上がるまでのリスクが他の石種と比べて非常に高い石なのです。



以上のような理由から、「庵治石」の希少価値が高く評価され、
なぜ庵治石の産出量が少なく、高価な墓石になるのかの所以です。


※参考文献:『天下の銘石 庵治石』(谷本竹正氏著)



         ~つづく~ 



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