お墓の選び方②墓地の種類と場所で選ぶ【その2】みなし墓地
■お墓の選び方①墓地の種類と場所で選ぶ【その1】公営墓地
■お墓の選び方②墓地の種類と場所で選ぶ【その2】みなし墓地
■お墓の選び方③墓地の種類と場所で選ぶ【その3】寺院墓地
■お墓の選び方④墓地の種類と場所で選ぶ【その4】民営墓地
■お墓の選び方⑤お墓を予算で選ぶ
上記のコラムからのつづきです。
お墓に使う石材の種類について
「お墓を素材で選ぶ」と一口に言っても、
お墓に使用する石の種類は300種類以上もあります。
その中から、一般の人が肉や魚などの食品を選ぶように、
どの石が良いのかを見て選ぶことは難しい作業でしょう。
日本ではその昔より、地元の気候や風土に合った石が使用されてきました。
しかし現在では、国内産の石材だけではなく、
中国産を中心とする外国産の石材を使用した墓石が、
中国の石材加工工場でつくられ、大量に輸入されています。
お墓のカタチなどにはあまりこだわりがなくても、
石材の質や、色にはこだわりたいという方も少なくありません。
また、墓石として使用する石材に特に決まりはありません。
現在、墓石として多く使用されている通称「御影石」と呼ばれる
花崗岩や安山岩などは、すべてが同様の性質ではありません。
硬くて水を含みにくく、研磨によるツヤ持ちが良いものや、
耐久性に乏しい石もあり、その性質はそれぞれの石によって様々です。
しかし、例外を除いて、墓石は屋外に建立され、
強い日差しや風雨にさらされているわけですので、
耐久性に優れたものをお選びいただくことをおすすめいたします。
お墓に使用するのに適している石材は、硬度が高くて吸水率が低く、
磨くことによって光沢がよく出るものが一般的には良いとされています。
カラフルな色の石材を使用した墓石
墓石に使用する石材の色については、様々な色のものがあり、
一般的によく目にする、白系御影石、青系御影石、黒系御影石のほかに、
赤系・茶系・緑系などのカラフルな色目の石材もあります。
近年では、「オリジナルデザイン墓石」の台頭とともに、
ピンク・赤・茶など個性的な石材を使ったお墓もかなり増えてきました。
墓石の色に自分や故人の好みを反映させることで、
より一層の深い想いをお墓に託すことができるのでしょう。
また、単一の石材だけではなくて、異なる色の石材を組み合わせて、
色合いの美しさを表現したオリジナルデザインのお墓もあります。
黒とグレー、赤とピンク、茶と黒など、その組み合わせは多様です。
同じ石でも磨き方や加工の方法によって、
違ったトーンを表現することもできます。
黒・赤・茶・緑などの石は磨き上げると濃い色に、
粗くたたく加工を施すと淡い色に仕上がります。
加工や仕上げの工夫で、色の濃淡の差を出すことによって、
墓石にコントラストを表現することができるのです。
世界で最も高級な墓石材「庵治石細目」
また、石には独特の石目模様を持つものもあります。
日本を代表する墓石材であり、世界で最も高級な墓石材として有名な、
香川県高松市庵治町で産出される「庵治石細目」の最高級品は、
「斑(ふ)」と呼ばれる、細かな石の結晶が織りなす二重のかすり模様が現れ、
その独特の風合いは、他の御影石には得られない気品が感じられます。
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従来では主に建築用として使用されていた外国産石材なども、
最近では墓石材としても使用されることも増えており、
縞模様の柄が入った石や貝殻化石を含み独特の輝きを持つ石など、
華やかな色柄の石材を使用したお墓も数多く建てられています。
石材の産地についてですが、以前は運搬技術が進んでいなかったため、
お墓はその土地で産出される地元の石材を使用するのが一般的でした。
しかし、運搬技術がすすんだ現在では、日本国内の石材だけではなく、
お墓に使用される石材の大半を外国産の石材に頼ってるのが現状です。
それらは、中国、インド、ヨーロッパ、北米、南米、南アフリカなど、
世界中のあらゆる国から多種にわたる石材が輸入されており、
その中でも最も多くの割合を占めるのが中国産の石材です。
加工技術の発達、人件費の安さなどの理由から、原石の輸入だけではなく、
日本で使用される約80%以上の墓石が中国で製品化して日本へ輸入されています。
また、インドやヨーロッパなどの外国産石材だけとどまらず、日本の石までもが、
一度中国に運ばれて墓石として加工されてから、日本に逆輸入されているのです。
国産の石だけが良いとは限らない
国産の石材の価格に比べて、外国産の石材が安価であることが多いため、
国産の石材は良質で、外国産の石材は質が良くないと思われがちですが、
大地の自然の恵みである石の品質においては、一概にそうとは言えません。
日本の国土は狭いため、中国などに比べると石材の産出量も少なく、
加工費や人件費の違いが価格の差となっている場合があるからです。
主に中国の石材加工工場でつくられる外国産の墓石は、
加工技術などの問題が懸念された時期もありましたが、
今では品質面・加工技術ともに格段の向上を果たしており、
信頼できる工場でつられたものなら問題はないと言えるでしょう。
ただ注意すべきは、中国の多くの石材加工工場で行われている"ごまかし"です。
本来ならば使えないような石でも、薬品処理、熱処理、着色など、
あらゆる方法で"ごまかし加工"を施した墓石が大量に日本に輸入されています。
※国産墓石と中国産墓石のどちらが良いのかを、以下のコラムで詳しく解説しています。
■①よく分からないお墓の選択基準?
■②どこの誰が作るかが重要!
■③「国産」の定義とは?
■④産地近くでの加工がベスト!
■⑤日本と中国の墓石加工方法の大きな違い!
■⑥中国産墓石の流通経路?
■⑦自社加工と自社施工の違い?
■⑧国産墓石と中国産墓石の研磨と加工精度!
■⑨まぎらわしい名称で販売される中国産墓石?
■⑩最終話:生産地よりも石材店選びが重要!
石材の吸水率と耐久性との関連
石材には石種によってさまざまな性質の違いがありますが、
墓石に使用する素材を選ぶ際には値段の高い、安いに関わらず、
必ずその石の「硬度」と「吸水率」を確認することが重要です。
硬度とは鉱物の相対的な硬さを表す指標のことです。
墓石として使用される御影石(花崗岩や安山岩)は、
一般的には、硬質で風化に強いと言われていますが、
その数値はそれぞれの石種によって大きく異なります。
吸水率とは石材の「水の吸いやすさ」を表したものです。
屋外に建立される墓石は、雨・雪・潮風などにさらされます。
雨に降られた石は、水を吸っては吐き出します。
墓石の中に水が浸透することにより、
石の表面にツヤ落ちやザラザラ感、
色落ちなどの経年劣化が現れてきます。
もともと、石は水を吸水する性質を持っていますが、
過度に水を吸いやすい石は、寒冷地では凍結しやすく、
凍結を繰り返すことにより、ひび割れや錆の原因につながります。
雨が降った後、墓石の下部に水を含んだような「染み」が残り、
それがいつまでたっても抜けないようなお墓は、
使用している石材の吸水率の高さに原因があると考えられます。
吸水率の低い石材は、それだけ高い耐水性を持っているわけで、
屋外に建てられる墓石材として適していると言えるのです。
石種選びは実際のお墓を見て選びましょう!
石を選ぶ時、石材店にはプレート状になった
小さな石のサンプルが用意されていることが多いようです。
しかし、石のサンプルだけでは具体的なイメージがつかみにくいため、
できれば墓石として完成したものを見せてもらいましょう。
特に屋外に建立されて何年か経過した墓石を見ておくことにより、
その墓石材が年月を経てどのようになるのかがわかります。
とはいえ、一般の人には石質の最終的な判断は難しいので、
やはり専門家の意見を聞いて決めるのが賢明な方法でしょう。
売ることばかりを最優先に考えない良心的な石材店であれば、
それぞれの石の長所や短所をはっきりと説明した上で、
お墓に使用する石を予算に応じてアドバイスしてくれるはずです。
~つづく~ 次回は「お墓をカタチで選ぶ」についてです。
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・カトリック大阪大司教区
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