国産墓石と中国産墓石のどっちが良いのか?①よく分からないお墓の選択基準?
■国産墓石と中国産墓石のどっちが良いのか?①よく分からないお墓の選択基準?
http://mbp-japan.com/hyogo/daiichisekizai/column/32958/
■国産墓石と中国産墓石のどっちが良いのか?②どこの誰が作るかが重要!
http://mbp-japan.com/hyogo/daiichisekizai/column/32997/
■国産墓石と中国産墓石のどっちが良いのか?③「国産」の定義とは?
http://mbp-japan.com/hyogo/daiichisekizai/column/33001/
■国産墓石と中国産墓石のどっちが良いのか?④産地近くでの加工がベスト!
http://mbp-japan.com/hyogo/daiichisekizai/column/33088/
■国産墓石と中国産墓石のどっちが良いのか?⑤日本と中国の墓石加工方法の大きな違い!
http://mbp-japan.com/hyogo/daiichisekizai/column/33087/
上記のコラムからの続きです
▲中国・福建省の石材加工工場外観。
前回のコラムの最後に、中国の石材加工工場にも
「良い工場」と「悪い工場」がある、というお話をいたしました。
それでは、消費者の皆様が中国産のお墓を購入するとした場合に、
「良い工場」で作られた墓石を選ぶことができるのでしょうか?
結論から言うと、選ぶことは極めて難しいと言えるでしょう!
「えっ、どうして?」
「消費者が中国の石材加工工場を選べないのはわかるけど、
購入する石材店ならどこの工場に依頼するかは決められるんじゃないの?」
…というような消費者からの声が聞こえてきそうですが、
実際に石材店でもなかなか中国の工場を選ぶことはできません。
何故かと言うと、お客様から中国産のお墓の注文を受けた石材店は、
直接、中国の石材加工工場に製作依頼をしているわけではないからなのです。
では、どうしているのかと言えば、墓石・石材製品を専門に、
製作から輸入までを取り扱っている「石材商社」と呼ばれる、
会社にお客様からご注文を頂いたお墓の製作を依頼するのが通常です。
そこから先は、その石材商社の発注担当者が
中国にいくつも取引のある石材加工工場の中から
どこの工場にそのお客様の墓石の加工製作を発注するのかは、
消費者はもちろんのこと、石材店すら知る由もありません。
▲台湾の西側に位置する中国・福建省。
それらの石材加工工場は中国のどのあたりにあるのかというと、
中国・福建省沿岸部の泉州、崇武(そうぶ)という地域に集まっています。
地理的には、ちょうど台湾から海を挟んで西側に位置します。
この地域は世界最大の石材加工地として、
日本、欧米向けの墓石等の石製品はもちろんのこと、
建築材を専門とする工場や彫刻品を作る工場など、
ありとあらゆる石材加工工場が以前には3,000以上もありました。
だが、リーマンショックのあと欧米や日本の景気低迷の影響でその数は減り続け、
今では当時の三分の一以下の1,000にも満たない数に減ったのではないでしょうか?
また、一部の石種に限っては中国北部の遼寧省・大連にも
石材加工工場があり日本向けに墓石の加工製作が行われています。
これらの工場で作られる墓石は、自然素材を材料としているため、
ライン化された工業製品のように二つとして同じモノはできません。
そして、どの業界も同じですが、これら数多くの石材加工工場の中には、
当然のごとく、「良い工場」と「悪い工場」が存在します。
出来上がってくる製品の品質は良いが値段も高い工場から、
値段は安いが品質も悪い工場、また、品質も値段もそこそこの工場など様々です。
▲手加工による「小タタキ」仕上げをする女性の石職人。
ましてや、近年のように長い景気低迷の影響でデフレ社会が続くと、
お墓も例外ではなく、より安いものを希望される消費者も多くなります。
そこで、販売する側の石材店としても、同じ石種で同じサイズの墓石なら
他店より少しでも安く消費者に販売することができれば競争力につながります。
しかし、石材店もそれ相応の利益を確保する必要があります。
デフレ社会において、安価な墓石の需要が多くなってくると、
石材店や仏壇店等の墓石販売店に製品を供給している石材商社としても、
墓石販売店の要望に応えられるような提案をする必要に迫られます。
もちろん、墓石販売店も石材商社に様々な要求を出します。
▲中国・福建省の石材加工工場内部。
相談を受けた石材商社としても、赤字を出してまでの商売はできません。
とは言っても、大切な得意先である石材店等からの依頼ごとなので、
むげに断るわけにはいきませんし、石材商社間での競合もあります。
そこで、中国国内に数多くある石材加工工場の中から、
墓石販売店の利益につながりそうな魅力的な価格で墓石を
加工製作してくれる工場を見つけないといけません。
なおかつ、石材商社が取引のある各石材店等に製品を卸すためには、
ある程度の量産体制が整った工場というのも条件となってきます。
しかし、先ずは「価格ありき」が最優先になると、
同じ石種の石材でも品質が悪かったり、等級が下がったり、
また、加工レベルが極めて低かったりする危険性が高くなります。
このように、お客様から注文を頂いたお墓が、
中国のどこの工場で、どの程度の技術力の石工職人が手掛けるのかは、
石材店ですら全くわからないまま、完成した墓石が届けられるのです。
まるで、写真も釣書もない「お見合い」みたいなものです。
これって、結構不安ですよね!
しかし、現在日本国内のおそらく99%の石材店や仏壇店等の墓石販売店は、
このように石材商社を通じて中国産墓石を仕入れているのが現状です。
▲中国の石材加工工場で検品をする私、能島孝志。
それが、不安ならば私のように、頻繁に中国に出向き、
提携工場での原石のチェックや加工に関する要望を伝え、
石材商社を通さずにお客様からの注文の墓石を完全自社設計で作り、
自分自身で検品して輸入している石材店を探して墓石建立を依頼すれば、
中国のどこの工場で作られているかは必ずわかります。
もしくは、全体に占める割合は少ないかと思いますが、
「安かろう悪かろう」の中国製品は取り扱わず、
価格は割高だが中国国内でも技術力の高い石材加工工場で作られた製品のみを
石材店をはじめとする墓石販売店に供給している石材商社から
墓石などの石材製品を仕入れている石材店に頼むのも一つの方法です。
当然、お墓の値段は少しばかりは高くなるかもしれませんが、
値段の差以上に安心できるお墓づくりに繋がるでしょう!
いずれにしても、消費者の方々が原石の善し悪しや、
加工精度の善し悪しを墓石購入時に判断するには極めて難しく、
建てた後でしか満足できるかどうかの結果がわからないのが実情です。
【注】掲載の中国石材加工工場の写真と本文の内容とは無関係です。
~つづく~
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