知らない人が損をする?「指定石材店制度」という仕組み①あまり知られていない業界独自の制度
~前のコラムからの続きです~
【消費者庁の「6つの原則」】
平成21年9月1日、新しい省庁である消費者庁が発足しました。
これは、消費者の観点から政策全般を監視する組織の実現を目指して設置された組織です。
新組織の設立にあたっては、消費者の立場を尊重した指導・監督を行うために、
以下の6つの原則が打ち出されました。
◆消費者庁が掲げる6つの原則
1.消費者にとって便利で分かりやすい。
2.消費者がメリットを十分実感できる。
3.迅速な対応。
4.専門性の確保。
5.透明性の確保。
6.効率性の確保。
この原則の注目ポイントは企業側に対して、消費者にとって利便性が高く、
メリットを十分に実感できる企業活動を目指すことを促そうとしている点でしょう。
消費者庁設置の必要性を訴えた福田首相(当時)も、平成20年1月18日の施政方針演説の中で
「これまでの生産者・供給者の立場からつくられた法律、制度、さらには行政や政治を、
国民本位のものに改めなければなりません」と述べています。
つまり、これまで供給者側(企業)の立場にたち、
既得権益を優先するというかたちで政策が展開されてきたことを反省し、
今後はより消費者側の視点に立ったやり方に転換していかなければならないということです。
このあらゆるサービスの基本的な前提である「消費者の視点に立つ」という観点から、
指定石材店制度というシステムを眺めた場合、
この仕組みは果たして消費者のためになっていると言えるでしょうか。
霊園に参画している石材店名を見学者の目につく場所に掲示しないことは、
消費者にとって「分かりやすい」でしょうか。
霊園見学に訪れた際に、業者側の都合で決められた順番で担当石材店が一方的に割り振られ、
変更も他社との比較検討もできないという現実は、
消費者が十分に「利益を享受している」と言えるでしょうか。
透明性や、建墓希望者にとっての効率性は確保されているでしょうか。
決してそうとは言えないでしょう。
むしろ、消費者にとっての不利益となってる側面が多いのではないでしょうか。
~つづく~
※参考文献:「霊園ガイド・2011夏号」(株式会社六月書房発行)
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