「大島石墓石」の価格・ランク・品質を徹底解明!(5)日本と中国でつくる大島石墓石の素材の違い
~前のコラムからの続きです~
【割増の付く理由】
■①キズの多さによる希少性
日本は複数のプレート(ユーラシア・北米・太平洋・フィリピン海)の接点上にあります。
それらのプレートはお互いが引っ張り合っているため、
その接点上にあり縦に長い日本の地層は南北にひずみが生じ亀裂が多く入っています。
また、日本は火山が多いため火山活動による地形の隆起による亀裂も多い。
これらの亀裂が岩盤のキズであり、ひいては庵治石のキズとなります。
このような理由により、総じて日本国内で採れる石は、
大陸で採れる石に比べてキズが多いといえます。
特に庵治産地は瀬戸内火山帯の中にあり、
庵治石はこの火山活動によってできた亀裂が非常に多く、
採石時においてすべてを避けることは困難を極めます。
たとえ職人の勘と技によりキズの無い部分を判別できたとしても、
石の場合は必要なところだけをくり抜いて採掘するわけにはいきません。
つまり、あらかじめ無駄だとわかっている場所をも採掘しなくてはならないのです。
庵治石は年間約3720tの採石量があるが、墓石及び燈籠、
彫刻などとして使用されるのは、ほんの3%~5%といわれています。
これは、いかに墓石用材として使うことのできる庵治石が貴重であるかがうかがえる数字であります。
大量に採掘された原石の中で厳選された庵治石だけが墓石として使用されるのです。
大半は建築材(束石や貼り石、庭石、石垣用材、漁礁用材、埋め立て用材など)として使用されます。
この貴重な墓石用材はさらに加工の段階で厳選されることになります。
■②加工時におけるリスクの高さ
採石した原石を加工する時にもリスクを伴います。
採石時において、可能な限りサビのある部分やキズを省いていきますが、
石は中まで見ることが出来ません。
一見、何の問題も無い原石でも、いざ切ってみると
中にキズやサビ、黒玉・白玉・ナデ・ムシ…等が出てくる場合があります。
そのような場合は一からやり直すことになります。
■③色目・石目合わせの難しさ
墓石を造る場合、部品の数が複数になる場合がほとんどです。
その場合に問題となるのが、他の部材との色合いや目合いのバランスであります。
ご承知の通り、石は自然の産物である以上、全く同じものは二つとしてありません。
庵治石は特にこの差が顕著でありバランスよくまとめることが困難な石です。
例えば、同じ塊から切り出したものでも目合いが違うこともあります。
ほとんどの場合、原石や切削の段階で、ある程度の予想はつきますが、
まれに、研磨をしてみると全く印象が変わってしまう石もあります。
そういった場合もまた一からやり直すことになります。
■④庵治石の丁場を維持するための諸経費
前述の①~③により庵治石がいかに希少価値のある
厳選されたものであるかを解かっていただけたことと思います。
この貴重な庵治石を採掘するためには莫大な費用がかかります。
年貢はもちろんのこと、様々な管理費・維持費などが必要となってきます。
これらが庵治石の製品として販売されるすべての石にかかってくるのです。
これらは、すべての墓石用庵治石にいえることでありますが、
特に大きいものや長いもの、薄いもの、霊標(墓誌)や碑銘には顕著に現れるため、
「庵治石の割増」というかたちで価格に加算されるのです。
以上のように、数々の問題点を克服したものだけが、
最高級ブランドである庵治石として出荷されます。
これらを克服するには長い時間と手間、様々な知恵と工夫、
卓越した技術、細かい工程、多くの石工達の力と心意気が必要です。
これが「庵治石の割増」の所以であります。
※参考文献:『天下の銘石 庵治石』(谷本竹正氏著)
「庵治石」について詳しくはこちらまで
http://www.daiichisekizai.com/choose_stones/2010/01/entry_692/
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