【前編】2026年濱田式AI品質スタンダード誕生物語 〜「暗黙知」をAIと紡ぐ〜

濱田金男

濱田金男

テーマ:濱田式AI品質スタンダード

2026年。私にとってこの一年は、これまで頭の中でくすぶっていた想いが、少しずつ確かな「形」へと変わっていった特別な時間でした。

最初から大きな事業を作ろうと意気込んでいたわけではありません。原点は、製造現場の品質管理に長く携わる中で、いつも私の胸を締め付けていた「ある疑問」でした。

現場で消えていく「Know-Why」への葛藤
「なぜ、ベテランが持っている知識は、会社に残らないのだろうか」

マニュアルを開いても、作業標準書を隅々まで読んでも、そこには書かれていません。けれど、いざ不具合が起きると、ベテラン職人はこう言います。

「これは前にも似たことがあったな」
「この条件なら、ここを疑った方がいい」
「この音なら、設備側を見た方がいいぞ」

経験から瞬時に導き出されるその判断は、単なるカンではありません。長年の現場で血肉として蓄積された判断基準であり、問題解決の思考回路であり、「なぜそう考えるのか」というKnow-Why(暗黙知)なのです。

しかし、ベテランが退職する日、その尊い暗黙知は彼らと一緒に会社を去ってしまいます。私はこの状況をどうにかできないかと、ずっと考えていました。

AIに「答え」を求めるのではなく「一緒に考える」
そんな折、生成AIという技術が世の中を席巻し始めました。質問すれば、驚くほど簡単にそれらしい答えが返ってきます。しかし、品質管理の泥臭い現場では、AIの模範解答だけでは通用しません。

「現場の4M(Man, Machine, Material, Method)は確認したのか?」
「それは本当に真因なのか?」
「再発防止策として機能するのか?」

現場の品質問題は、AIがパッと出せるほど単純ではないのです。そこで私は、発想を逆転させました。AIに答えを出させるのではなく、AIとの「会話」そのものを、品質問題解決のプロセスにできないか、と。

4M、QC、FMEA、なぜなぜ分析、SDCA、PDCA、未然防止……。これまで私たちが現場で使ってきた泥臭いフレームワークを、AIとの対話の中に組み込んでいく。それが、私のAIとの長い対話の始まりでした。

点が線になった2026年前半。三つの柱の誕生
2026年の前半は、バラバラだった思考の点が、一本の太い線につながった転換点でした。
現場の経験をAIとの対話で言語化し、知識として蓄積し、若手がそれを活用し、また新たな経験を生む。この「経験 → AIとの対話 → 知識化 → 活用 → 新しい経験」という循環こそが、これからの品質管理の最適解だと確信したのです。

考えを整理する中で、三つの柱が見えてきました。

濱田式AI品質スタンダード:AIを品質管理に組み込む「考え方・体系」
現場AI実装士:AIを道具として使いこなし、現場の改善を牽引する「人」
匠ナレッジコア:組織の知識を引き出す「仕組み」

企業にはそれぞれ、製品、設備、過去のトラブル、熟練者の経験など、独自のナレッジがあります。そして、経営者、工場長、現場作業者と、立場によって抱える課題も異なります。

そこで「匠ナレッジコア」の中心に、思考エンジンである「TAKUMI」と「KATANA」を据え、組織の立場や課題に応じて使い分ける「8つの型」を考案しました。「知識を持っているAI」ではなく、「組織の中にある知識を引き出し、整理し、問題解決につなげるAI」を目指して。

こうして、「濱田式AI品質スタンダード」は単なる思想から、実践的な仕組みへと進化を遂げたのです。

しかし、物語はここで終わりません。「では、どうやってAIにこの複雑な考え方を実行させるのか?」。後編では、私の経験の集大成とも言える「AI品質ナビゲータ」の誕生と、次世代への想いをお話しします。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

濱田金男
専門家

濱田金男(製造業技術支援サービス)

合同会社高崎ものづくり技術研究所

熟練の暗黙知を、全員が使える武器に:日本初、AI品質管理:濱田式AI品質スタンダード ・生成AI活用で作業の形骸化・属人化防止・トラブル未然防止 ・ベテランの思考プロセスを可視化、みんなで再利用

濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

ものづくり現場の品質管理、人材育成のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ群馬
  3. 群馬のビジネス
  4. 群馬の人材育成・社員研修
  5. 濱田金男
  6. コラム一覧
  7. 【前編】2026年濱田式AI品質スタンダード誕生物語 〜「暗黙知」をAIと紡ぐ〜

濱田金男プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼