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食塩による昇圧は他栄養素では相殺されない?

佐藤浩明

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テーマ:高血圧予防?

食塩による昇圧は他栄養素では相殺されない?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘食塩による昇圧は他栄養素では相殺されない?’という報告です。

 米・Northwestern Universityの研究者らは、1996~99年に4カ国17集団の成人4,680例を対象に実施された栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAPのデータを解析。その結果、食事によるナトリウム(Na)摂取が血圧に及ぼす悪影響は、血圧にとって好ましい他の栄養素を摂取しても相殺されない可能性があると発表した。

同研究では日本(4集団)、中国(3集団)、英国(2集団)、米国(8集団)の4カ国17集団において、40~59歳の男女4,680例をランダムに抽出。24時間蓄尿によるNaおよびカリウム(K)排泄量測定、血圧測定に加え、80種類の栄養素(蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など)の摂取状況を調査した。

 年齢、性、集団を調整した多変量解析の結果、24時間尿中Na排泄量の最高四分位群は最低四分位群に比べて収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)が一貫して高かった。この結果は13種類の主要栄養素、12種類のビタミン、7種類のミネラル、18種類のアミノ酸と栄養素以外の交絡因子を調整後も同様であった。

 栄養素以外の交絡因子、アルコール摂取、24時間尿中K排泄量を調整した分析では、24時間尿中Na排泄量の2標準偏差〔SD〕増加によりSBP/DBPが3.5/1.7mmHg上昇した。このNaと血圧の有意な関連は80種類の栄養素を個別に調整したモデルでも維持され、Naと血圧の関連が他の主要栄養素または微量栄養素の任意の組み合わせによって大きく変化しないことが示唆された

 同氏らは「横断研究であるため因果関係を評価することはできない」と研究の限界を指摘した上で、「Na摂取およびNa/K比が血圧に及ぼす悪影響が確認され、その他の主要栄養素および微量栄養素(血圧に影響するものを含む)はこの悪影響を相殺する効果が非常に小さいことが示された」と結論。「米国をはじめ多くの国におけるNa摂取源の大部分は市販の加工食品なので、高血圧の予防と管理のためには食品業界が商品の大幅な減塩に取り組むことが不可欠である」と付言している。

 以前から食塩の血圧による悪影響は言われていましたが、今回の報告でそれが実証され、さらに他の栄養素ではそのデメリットを打ち消すのは難しいという結果が出たことはやはり血圧上昇を抑えるためには食塩の摂取を控えることが最も重要であることが再確認されたわけです。ただ、通常はどの食品にどれだけの食塩が含まれているかということはなかなか分かりにくいため上述の様に食品関連業界自体が積極的に減塩に取り組むことが大事なのだと思います。

18.3.12 吾妻

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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