HbA1c値だけで血糖変動評価は困難?
若年糖尿病では合併症に注意?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「若年糖尿病では合併症にも注意?」という報告です。
世の中の関心は高齢者に向かっている。2017年1月、日本老年学会などが高齢者の定義を、現在の65歳以上から10歳引き上げて75歳以上に見直すよう提言した。また、3月12日から改正道路交通法がスタートし、75歳以上の高齢者が運転免許証を更新するときに認知機能検査が義務付けられ、認知症の恐れがあれば医師の診断が必要となった。
糖尿病関連でも2016年に高齢者糖尿病の血糖コントロール目標が発表され、認知機能やADLなどに応じて治療目標を設定することがようやく推奨されるようになった。ただ、合併症予防のための血糖コントロール目標はHbA1c 7.0%未満であり、さらに若年者などで血糖正常化を目指す際の目標は6.0%未満であることは現在も変わっていない。
合併症といえばつい高齢者を連想してしまうが、若年者でも発症することを忘れてはいけない。成人前にインスリン依存型である1型あるいはそれ以外の2型糖尿病と診断された患者の、合併症の頻度を比較した試験はこれまであまりないが、このたびJAMA誌に、若年発症の1型および2型糖尿病患者の合併症を比較した結果が報告された。
この試験は、米国で1型または2型糖尿病と診断された20歳未満の若年糖尿病患者を対象に、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害や高血圧症などの調査が行われた。解析対象は2,018例で、これまでに行われた若年糖尿病患者の試験より規模が大きい。糖尿病罹病期間は、1型および2型糖尿病とも平均7.9年であったが、糖尿病合併症の有病率は1型で32%、2型で72%と、2型糖尿病のほうがかなり高いという結果であった。また驚いたことに、種々のリスク因子で補正しても、2型のほうが1型よりも糖尿病合併症の有病率が高いことが示された。この差が病態の違いに起因するものかどうなのか、さらなる検討が必要である。
小児期や思春期に診断された若年糖尿病患者は、1型および2型糖尿病とも合併症の有病率が高く、早期からの合併症予防対策が必要であることはいうまでもない。そのためには高齢者と同様に、若年者にも関心を寄せることが大切であろう。*中納言クリニック 小川大輔先生の文章を抜粋し、一部改変
超高齢化社会を迎えた日本においては糖尿病も高齢者に目が行きがちですが、若年発症の2型糖尿病はある意味、若くしてメタボを発症しているようなものですから合併症の頻度が高いのも頷ける感じはします。
吾妻小富士の雪うさぎ...そろそろ見納めかも?知れませんね!