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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

糖尿病患者では重症低血糖に要注意?

2017年4月15日

テーマ:糖尿病関連の報告

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状低血糖 食事

糖尿病患者では重症低血糖に要注意?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「糖尿病患者では重症低血糖に要注意?」という報告です。
 2型糖尿病患者では、重症低血糖を1度でも起こすと死亡や心血管疾患のリスクが高まる可能性が、新しい研究で示された。研究を行った米ジョンズ・ホプキンズ大学の研究者らは、「これまでは低血糖を治療して患者が回復すればそれで済むものと考えられてきた。しかし、今回の知見により、救急搬送を要するほどの重症な低血糖の既往は、その後の患者の健康に長期にわたって影響を及ぼしている可能性が示された」と述べている。
 この研究は、2型糖尿病患者1,198人を対象としたもの。対象患者の年齢は45~64歳で、糖尿病の罹患期間は平均で15年であった。対象患者のうち約200人が低血糖で救急外来に搬送された既往をもち、そのうちの3分の1が低血糖の発症から3年以内に死亡していた。解析の結果、研究期間中に重症低血糖の既往をもつ患者では、既往をもたない患者に比べて心疾患、脳卒中、死亡のリスクが2倍に上ることがわかった。
 「この結果は、意識障害などを伴う重症低血糖で救急外来を受診した経験をもつ患者に対して、医療従事者はもっと注意を払うべきであることを示唆している」と、同氏らは述べている。ただし、同氏らは、重症低血糖の既往をもつ患者がもともと死亡や心血管イベントのリスクが高かった可能性があること、また、低血糖の既往が実際にこれらのリスクを高めるとの確証を得たわけでないことを付け加えている。
 研究指導著者である同大学院の別の研究者は、「糖尿病患者にとって低血糖発作は死亡や心血管疾患のリスク因子であることは明らかである。薬物治療などによる積極的な血糖コントロールが推奨されているが、低血糖を起こさないよう注意することが大切だ」と強調している。
 近年の糖尿病治療は厳密な血糖コントロールよりも低血糖を起こさない治療へとシフトしているのは事実です。それは以前の幾つかの世界的な大規模試験で厳密な血糖コントロール群では逆に上記の報告でも述べられているように心血管疾患の発症が抑えられなかったという結果が出ているからです。実際にHbA1cだけで血糖コントロールを診ているだけではある意味の血糖の推移は分かりますが、血糖変動幅までは分からないので知らないうちに低血糖状態になってことも否定できません。そのため、最近では糖尿病治療に際してはなるべく低血糖を起こさないような薬剤の選択が望ましいと言われるようになって来ていますし、その様な方向で処方する様になって来ているのも事実です。

17.4.14 ツバメ

 例年通り、クリニックに第一陣のツバメが飛来しました!

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佐藤浩明

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