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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

糖尿病患者に糖質制限は有用か?

2017年3月27日

テーマ:糖尿病関連の報告

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

糖尿病患者に糖質制限は有用か?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「糖尿病患者に糖質制限は有用か?」というお話しです。
食事療法の中で、健康人の間にも広まっているのが「糖質制限」だが、手軽にできるイメージを危惧する医療者は少なくない。ある意識調査「糖質制限、あなたは支持する?」では、医師の6割が肯定的な意見を示したが、一方で4人に1人は慎重な姿勢だった。北里大学糖尿病センター長の山田悟先生に、適切な摂取量など糖質制限の留意点について尋ねた。
*糖尿病治療における1日の糖質摂取推奨量について、どうお考えですか。1食につき20-40gを1日3食、これとは別に嗜好品で1日10gほど摂取すると考えれば、70-130g/日になるような食べ方が良いと思います。ただし、決して70-130g/日さえ守っていれば良い訳ではなく、1食20-40gを優先した考えから算出している数値です。食事のたびに食後高血糖が起きているので、当然のことながら毎回、食後高血糖が起きないように糖質量をコントロールする考えです。世界的にさまざまな論文で使われている糖質制限食の定義では、ある国の研究グループでは糖質の摂取量が120g以下、別の研究者の考え方では130g以下、あるいは150g以下などとありますが、こうした数値にとらわれる必要はありません。
 われわれが実施した比較試験では、参加者の1日当たりの摂取量が平均で130gになりました。平均が130gということは、半分の人は130g/日を守れていなかったということです。にもかかわらず、参加者全員のHbA1cは低下していたのです。糖尿病治療における糖質制限の目的は、あくまでも血糖改善なのだから、70-130g/日であれ、150g以下/日であれ、どのような定義を用いて指導するにせよ結果が得られればいいのです。たとえ指導内容と乖離した摂取量であっても、治療目的が達成できていればそれでいい。だから、定義にはそれほどとらわれる必要はないと考えています。
―糖質摂取の推奨量に下限は設けるべきなのでしょうか。
他の糖質制限食の研究者とわれわれが大きく異なるのは、糖質摂取の推奨量に下限を設けている点です。極端な糖質制限食については、2015年に発表された試験で総死亡率の低減が認められる結果が出て取り巻く状況はかなり大きく変化していると思います。ただし、この点について現時点では議論があるところなので、われわれはこのダイエットをまだ避けています。
糖質制限は当然のごとく、糖尿病患者さんには有効な食事療法である事は論を待ちません。ただ、あまり極端な糖質制限は上記で山田先生がお話しなされているように問題だろうということです。それは人には最低限必要なカロリー量があるわけですから、極端に糖質を制限するということはそれ以外の蛋白質や脂質で補う必要があるわけで高タンパク・高脂質となるとその質の問題も起きてきます。脂質摂取に動物性の物を多く摂りすぎれば脂質異常などの問題も生じますし、良質のたんぱくがどんな食材に多く含まれているかという問題もありますので食後高血糖が起きない程度の糖質制限という考え方が一番リーズナブルなのかも知れません!
      
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