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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

がんの6割は遺伝子複製ミス、肺・胃がんは予防が有効?

2017年3月25日

テーマ:がん予防

コラムカテゴリ:医療・病院

がんの6割は遺伝子複製ミス、肺・胃がんは予防が有効?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「がんの6割は遺伝子複製ミス、肺・胃がんは予防が有効?」という報告です。
 肺がんや胃がんは、たばこや食事などの環境要因で起きやすく予防が有効だが、脳腫瘍や乳がん、前立腺がんなど多くのがんは、細胞分裂の際に誰にでも起きる遺伝子の複製ミスが主な原因だとする研究結果を米ジョンズ・ホプキンズ大のチームが米科学誌サイエンスに発表した。がん全体で見ると6割が複製ミスによるものだという。
 チームは「複製ミスは、タイプミスと同じで一定の割合で必ず起きる。がんとの戦いに勝つには、予防だけでなく、早期発見が重要だ」と訴えている。がんの原因には大きく分けて、大気汚染、喫煙、食事といった環境要因、親から受け継いだ遺伝要因、自然に起き、防ぐことの難しい遺伝子の複製ミスの三つに分けられる。チームは国際がん研究機関に登録された世界69カ国のがん患者のデータベースや英国のデータなどを使って、32種のがんについて三つの原因の寄与度がどの程度になるか調べた。
 この結果、全体ではがんを引き起こす遺伝子変異の66%は複製ミスが原因なのに対し、環境要因は29%、遺伝要因は5%であることが分かった。複数の変異がなければがんを発症しないことを考慮すると、環境を改善することでがんの42%は防げると見積もった。種類別では、肺がん、胃がんは環境要因の寄与する度合いがそれぞれ66%、55%と高かった。一方で前立腺がんや乳がんは環境要因の割合が低かったのに対し、複製ミスが96%、83%と高くなった。
 この報告によると前立腺がんや乳がんはある意味、防ぎようがないのかも?知れませんが、本来前立腺がんはあまり悪性度の高い癌ではありませんし、現段階ではPSAという血液検査による腫瘍マーカーで症状のない時期の早期の段階である程度発見可能ですからそれ程問題はないと思われます。それに対して乳がんは少し前に芸能人の乳がんが話題となりましたが、30代の比較的若い年代にも発症しますし、ホント早期発見のための検診が欠かせない疾患と考えられます。
 一方で肺がんや胃がんは環境要因で起きやすいがんの様ですからまずは禁煙、そして胃がんに対してはピロリ菌陽性であれば除菌治療...これが二つのがんを予防するためには非常に大事だと思われます!
       
17.3.24 梅

 昨朝の通勤路での光景。お彼岸が過ぎてもまだまだ寒い日が続きますが、春は一歩ずつ近づいている様です!

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