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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

痩せた女性でも高カロリー摂取でがんリスク?

2017年9月8日

テーマ:がん予防

コラムカテゴリ:医療・病院

 

痩せた女性でも高カロリー摂取でがんリスク?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘痩せた女性でも高カロリー摂取でがんリスク?’という報告です。
 ハンバーガーやピザといった高カロリー食を頻繁に食べる女性では、たとえ体形は痩せていても、肥満に関連する一部のがんリスクがわずかに高いことが米アリゾナ大学による研究で示唆された。同研究者らは今回、研究開始時に50~79歳であった米国人女性9万2,295人を対象に、ポテトチップスやファストフード、菓子などの加工食品を中心とした高カロリーで低栄養の食品の摂取と、乳がんや大腸がん、卵巣がん、腎臓がん、子宮体がんなどの肥満に関連するがんのリスクとの関連について検討した。対象者が日常的に摂取している食品が「高カロリー食」かどうかについては、研究開始時に提供された食物摂取頻度に関するデータに基づき、食品の重量に対するカロリーの割合(エネルギー密度)を算出して調べた。
 15年間に9,600人弱が肥満に関連するがんを発症した。このうち最も多かったのが乳がんで、次いで大腸が続いた。解析の結果、エネルギー密度の最高5分位群(高カロリー食の摂取量が最も多い群)では、最低5分位群(高カロリー食の摂取量が最も少ない群)と比べて肥満に関連するがんのリスクが10%高いことが分かった。問題は、この関連性が適正体重の女性でのみ認められたことだった。同氏らは、今回の研究から「新たな知見」が得られ、それは「予想外」だったとしている。その上で、「一部のがんは肥満に関連していると話すと、適正体重の人は『私は大丈夫』と考えてしまう。しかし、痩せていれば代謝面で健康であるというわけではない」と説明。今回の研究で痩せている人でもリスクの上昇が認められたのは、“代謝の調節異常”が一因となっている可能性があるとの見方を示している。
 一方、米国がん協会(ACS)で栄養疫学の研究者は、がんリスクの上昇には“代謝の調節異常”に加え、高カロリー食の摂取量が多い女性では果物や野菜、豆、全粒穀物といった植物性食品の摂取量が少ないことが影響した可能性もあると指摘。「これまで、われわれ専門家は『植物性食品の摂取によるメリットは体重管理だけに留まらない』として、その摂取を推奨してきたが、今回の研究結果はそれを裏付けるもの」と話している。
 よく肥満とがん発症リスクに関しては取沙汰されていますが、今回の報告は肥満ではなくてもやはり高カロリー食の摂取はがん発症リスクを上昇させる可能性があるということを後押しするデータです。元々、人は飢餓に耐えられる様な体のメカニズムがあるにも拘らず近年ではある意味飽食の時代となり、高カロリーの食事を低価格で食べられる時代となって来ています。昔から言われている腹八分ということを肝に銘じる必要がありそうです。

17.9.7 渡り鳥

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