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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

わずかな減量で乳がんリスク低下?

2018年1月8日

テーマ:がん予防

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

わずかな減量で乳がんリスク低下?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘わずかな減量で乳がんリスク低下?’という報告です。
閉経後に3年間で5%程度減量すると乳がんの発症リスクが12%低下する可能性があるという新しい研究結果が、米サンアントニオ乳癌シンポジウムで発表された。

 研究を主導した米シティ・オブ・ホープ病院の研究者は「適正体重にならなくても、わずかな減量で乳がんリスクの低減効果が得られるとする今回の結果は、多くの女性にとって励みになるだろう。5%程度の減量であれば取り組みやすく、体重も維持しやすい」と述べている。

 肥満が乳がんのリスク因子である可能性を示す研究結果はこれまで報告されているが、減量がリスク低減につながるのか否かは明らかにされていなかった。同氏らは今回、米国立衛生研究所(NIH)が行った研究に参加した閉経後女性6万1,335人を対象に、研究開始時と3年後に体重を測定し、前向きに追跡した。

 解析の結果、追跡期間中の体重に変化がみられなかった女性と比べて、5%以上減量した女性では乳がんの発症リスクが12%低下した。また、15%以上減量した女性では乳がんリスクは37%低下することも分かった。なお、研究開始時点の平均体格指数(BMI)は体重に変化がみられなかった女性では26.7だったのに対し、5%以上減量した女性では29.9であった。この点について、同氏は「5%以上減量した女性はベースライン時に体重がより重く、活動量も少なかった」と指摘している。

 同氏らは「減量にはさまざまな因子が関連しており、例えば減量によって身体の炎症が抑えられたことでがんリスクが低下した可能性が考えられるが、この研究はこれらの因果関係を証明したものではない」と話している。

 米ニューヨーク大学の別の専門家は「運動量を増やしたり減量することは乳がんだけでなく、糖尿病や心血管疾患、関節の障害などのリスクの低減にもつながる」と強調し、週に3~4時間の有酸素運動や筋肉トレーニングを行うことを推奨している。

 これはあくまでもかなり肥満の米国人が対象ではありますが, 減量という点から考えれば少なくとも過体重傾向のある方では減量することが乳がん発症予防に繋がる可能性はあると考えられます。ただ、昨年乳がんでなくなった有名人などは明らかに肥満ではありませんでしたので必ずしも減量だけが重要ではないのも確かです。

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佐藤浩明

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