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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

乳がんリスクを減らすには?

2017年9月4日

テーマ:がん予防

コラムカテゴリ:医療・病院

 

乳がんリスクを減らすには?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘乳がんリスクを減らすには?’という報告です。
 世界がん研究基金とアメリカがん研究協会が2007年に乳がん発症リスク要因と予防効果がある事柄を発表しました。このように、大腸がんなど他のがんに比べ、乳がんは栄養素を補うことよりも運動の方が重要視されています。それは、乳がんの発生要因が女性ホルモン(エストロゲン) の体内濃度が高いことや、長期暴露であることが挙げられているため、授乳を行いエストロゲンの暴露を減らすことや、女性ホルモン様物質を分泌する脂肪細胞を減らすことがとりわけ効果的だと言われているためです。心理的ストレスが乳がん発症に起因するとも言われていますが、実際に日本全国22地区でアンケートを実施したデータ(JACC study)によると、「腹の立ちやすさ」や「自覚的な精神的ストレス」と乳がん発症リスクの関連は見られなかった一方『生きがい』や『はり』を持って生活している人は「はっきり言えない、ふつう」と答えた人より乳がん罹患リスクが 34%も低くなることが判明しました。近年、この違いを裏付ける科学的メカニズムが解明されつつあります。
 乳がん発生には肥満が大きく関係していますが、その肥満との関連が深い栄養素である「食物繊維」や「オメガ3系脂肪酸」と乳がんの関係について調べた大規模研究も含めた結果をご紹介します。8つの国内研究の結果、体格指数(BMI)23-25 の群と比べ、閉経前にBMI30以上あった群は、乳がんリスクが2.25倍であり、特に閉経後はBMIの値に比例してリスクが高くなりました。これは、閉経前肥満は閉経後も肥満である確率が高いためと考えられています。 国内9地点で 45-74 歳女性を対象に行われたアンケート調査と追跡調査の結果、水溶性、不溶性の食物繊維の両方を含めた総食物繊維の摂取量を、少ない、ふつう、多いの3群に分け、さらに上位群を3群に分けて解析した結果、総食物繊維摂取量が多いほど乳がんリスク低下が見られました。なお、納豆は水溶性食物繊維、米は不溶性食物繊維として解析 しています。1988-1990 年を起点とした約7年半追跡調査によると、オメガ3系脂肪酸摂取量が最も多い群(上位1/4)は最も少ない群(下位 1/4) よりも乳がんリスクが0,5と半分になった一方、飽和脂肪酸を含む総脂肪摂取量が多い群の乳がんリスク増加は示されませんでした。
【参考】国立がん研究センターサイ
 少し前に30代の芸能人の若年乳がんが話題となりましたが、乳がんは他のがんと違い女性ホルモンとの関連の強いがんですのである程度予防は可能な様ですので運動を心がけ、肥満にならない様にして食物繊維を多く含む食事摂取を目指すことは大事な様です。でも、先日の彼女は少なくとも肥満ではありませんでしたし、どうもそれだけではなさそうです。

17.9.3 筑波山
 昨日は栃木で大学時代の同級生達とのラウンドでした。遠くにかすんで見えるのは筑波山?です。

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