ガソリンの苦労を語りつつ水を飲む。

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:心のあり方のヒント

バナー

タクシーに乗っていた。

運転手さんが、

「ガソリンの高騰で商売あがったりで。
外国からはるばる海を渡って来てるんですよねぇ。

そうはいっても、
水とたいして値段が変わらない。

まぁ、おかしな話だよねぇ。」

と熱弁している。

ガソリン。
外国から来る。
海を渡る。
タンカーに乗る。

確かに大変そう。

……その横で運転手さん。
ゴクゴク。
水を飲んでいる。

何気なくラベルを見る。
カリフォルニア。

……そっちの水も海渡ってる。

( ̄▽ ̄;)

水、黙ってるからバレない

ガソリンは、
「原油を輸入してます。」
みたいな顔をしている。

ニュースでも、

「原油価格が……」
「輸入コストが……」
「円安の影響が……」

と、ものすごく説明される。

だから、
「ガソリンは外国から来てる。」
という事実を、私たちは知っている。

一方、水。

何も言わない。
透明。
静か。

ペットボトルの中で、
ただ揺れている。

でも、
ラベルを見ると、

カリフォルニア。

めちゃくちゃ海外。

黙っているから、
近所の水みたいな顔をしている。

「苦労して来たもの」だけが苦労しているわけじゃない

とはいえ、人って、
自分が知っている苦労には、
すごく敏感。

「これは大変だった。」
「こんなに苦労した。」
「昔はもっと厳しかった。」

・・・分かります。

でも、
知らないところで、
誰かがしている苦労は見えない。

見えないから、
「普通」に見える。

水もそう。
そこにある。

だから、
「水。」で終わる。

でも、
実際には、
遠くから来ている。

人間も、だいたい同じ

「あの人はいいよね。」
「楽そうだよね。」
「なんでそんなに余裕あるの?」

そう思うことがある。

でも、
その人が、
どこから来たのかは知らない。

何を抱えているのかも、
知らない。

どれだけ遠回りしてきたのかも、
知らない。

ただ、
目の前にいる。

だから、「この人。」で終わる。
水と一緒。

旅程を消したら、ただの水。
人も、
旅程を消したら、
ただの「感じのいい人」とか、

「仕事ができる人」とか、
「なんか余裕ある人」になる。

でも、全部知る必要もない

だから、
「相手の苦労を理解しましょう。」

……なんて、
きれいな話にするつもりはありません。

人の苦労なんて、
全部分かるわけがない。
誰しも自分のことで精一杯。

それはそれでいい。

ただ、
「見えているものが全部」
と思わないほうがいい。

だって、
カリフォルニアから来た水ですら、

ただの水みたいな顔をしている。

( ̄▽ ̄;)

タクシーを降りる。
運転手さんは、
まだガソリンの話をしている。

私は、
さっきのペットボトルを思い出す。

ガソリンも大変。
水も大変。

たぶん、
人間も大変。

でも、
いちいち、
「私、こんなに遠くから来ました。」

なんて、胸に旅程表をぶら下げて歩いている人はいない。

だから、
今日も、
他人を見て、

「楽そう。」

と思う。

そして、
自分を見て、
「私ばっかり大変。」
と思う。

人間、
自分の苦労だけ、GPS付き。

( ̄▽ ̄;)

そう考えると、
なんだか少し笑えてくる。

カリフォルニアから来た水を飲みながら、
「水なんて、そこらへんにある。」
と思っていた私も、

まあ、
同じ穴のムジナです。

……それにしても。
水、私より遠くから来てる。

ちょっと悔しい。

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

鎌田千穂プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

鎌田千穂
専門家

鎌田千穂(産業カウンセラー)

Chi-ho’s studio

組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

鎌田千穂プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

業務改善と人材育成のプロ

鎌田千穂プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼