ファイバーレーザー溶接について

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:溶接技術

 最近、展示会などでよく見かけるファイバーレーザー溶接(Fiber laser welding)についてコメントします。

 ファイバーレーザー溶接は、高密度ビームで精密かつ高強度な金属接合を実現する最新のレーザー溶接技術です。

 ファイバーレーザー溶接の基本原理としては、光ファイバーを媒質とした固体レーザーを用いる溶接技術です。レーザー光を極小スポットに集光することで、非常に高いエネルギー密度を実現し、金属を瞬時に融点まで加熱して「キーホール溶接(深溶け込み溶接)」を可能にします 。この局所的かつ瞬間的な加熱により、熱影響層(HAZ)が狭く抑えられ、薄板の波打ちや熱歪みを大幅に低減できます。

 ファイバーレーザー溶接の主な特徴とメリットを列挙すると下記のようになります。
①高精度・高密度溶接
  狭く深い溶け込みで、母材と同等以上の引張強度・接合強度を確保できます。
②加工速度の向上
  従来のTIG溶接に比べ、3~5倍の速度で加工可能で、仕上げ工数を削減しコストダウンに貢献します。
③熱影響の最小化
  局所加熱により変形やひずみ、溶接焼けが少なく、後工程の研磨や仕上げ作業を大幅に削減可能となります。
④幅広い材料対応
  鉄、ステンレス、アルミ、銅など高反射材や異種金属の接合も可能です。
⑤省エネ効果
  高エネルギー密度により、従来機比でレーザー出力を最大33%削減して溶接が可能です。
⑥自動化対応
  非接触溶接で電極メンテナンスが不要であり、ロボットや自動化ラインとの連携が容易となります。

 ファイバーレーザー溶接の主な適用分野は、薄板加工、精密板金、筐体設計、パイプ溶接など、寸法精度や仕上がり品質が重要な分野で特に有効です。また、溶接ビードが美しくスパッタが少ないため、外観品質も重視される製品に適しています。

 ファイバーレーザー溶接の注意点として挙げられるのは、導入するのに、高額な設備投資と技術ノウハウが必要であり、用途に応じた試作検証や設計段階での最適化が重要となります。ファイバーレーザー溶接は、従来のTIGやCO2レーザー溶接に比べ、高精度・高強度・高速・低歪みを同時に実現できる先進的な溶接技術として、精密板金や自動化生産ラインでの活用が進んでいます。

(参考ブログ)
https://www.pec-kumata.com/post/fiberlaserwelding

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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