【医師監修】 甲状腺機能低下症と過眠:眠くて仕方ないあなたへ
「眠気がひどいのですが、過眠症でしょうか?」といって、外来を受診される患者さんがいます。診察したり検査したりしないと正確な診断はつけられませんが、8割上の患者さんは話を聴くだけで、ただの睡眠不足か病気かの見当がつきます。
一番の違いは眠気の強さです。車の運転中や会議の時に眠くなることは、普通の人でもあります。病気でなくても睡眠不足がひどければ、居眠り運転で事故を起こすこともあるでしょう。
過眠を起こす代表的な病気であるナルコプシーでは、いつでもどこでも眠ってしまう可能性があります。睡眠不足がどんなにひどくても、恋人と楽しくおしゃべりしているときや、運動をしている最中にも眠ることはないでしょう。しかし、ナルコレプシーの患者さんは、いつ何をしていても、いきなり眠ってしまいます。
また、睡眠不足の人は、十分な睡眠時間を確保すれば、日中の眠気が和らぎます。しかし、過眠症の人では、睡眠時間と関係なく強い睡魔に襲われます。
さらに、睡眠不足の人は、過眠の他にあまり症状がありません。一方、ナルコレプシーでは、笑ったり怒ったりすると体の力が抜けるカタプレシーや、寝付いてすぐに変なものが見える入眠時幻覚、いわゆる金縛りの睡眠麻痺などが見られます。
過眠を起こす病気には、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群もあります。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中のいびきや無呼吸が特徴です。むずむず脚症候群はあまり聞き慣れない病気かもしれませんが、夜になると脚に違和感(ムズムズ・そわそわ・ピリピリなど)があり、よく眠れなくなる病気です。
日中の眠気で困ったら、まずは睡眠時間を延ばして、眠気が軽くなるか試してみてください。それでもダメなら、ご相談ください。