少年院での生活と期間|どのくらいで戻れるのか
家庭裁判所から審判期日の呼出しが届くと、少年本人だけでなく、保護者にも同じ日の出頭が求められます。何を聞かれるのか、どこまで話してよいのか、黙って座っていればよいのかがわからないまま当日を迎える方は少なくありません。
少年審判における保護者は、少年に付き添うだけの立場ではありません。手続に関わる権利を与えられている側であると同時に、家庭裁判所から事情を尋ねられ、働きかけを受ける側でもあります。この記事では、保護者として審判に出席する場面に絞り、誰が呼び出されるのか、何を聞かれるのか、意見をどのように述べる場面が用意されているのかを整理します。
保護者として呼び出されるのは誰か
少年審判規則には、審判期日には少年及び保護者を呼び出さなければならないと定められています。ここでいう「保護者」が誰を指すのかは、少年法に定義が置かれています。
法律上の保護者と、事実上の保護者
少年法上の保護者は、少年に対して法律上監護教育の義務がある者と、少年を現に監護する者の二つに分かれます。前者は親権者や未成年後見人など、法律上の立場から当然に保護者となる人を指します。後者は、法律上の義務があるわけではないものの、実際に親代わりとして生活を見ている人を指し、里親、継父母、離婚により親権者ではなくなった実の親、住み込み先の雇主などが挙げられます。
同居しているかどうかだけで決まるものではなく、生活全般にわたって継続的に監督している実質があるかどうかで判断されます。通いの勤務先の雇用主や学校の担任は、この意味での保護者には当たらないと考えられています。
18歳・19歳の場合の扱い
18歳と19歳は、少年法では引き続き少年として扱われる一方、民法では親権に服さない年齢です。そのため、親であっても法律上監護教育の義務がある者には当たらず、実際に監護している実質を踏まえて、事実上の保護者として扱われるという整理がされています。子が18歳を過ぎていても、親が審判に呼び出される立場から外れるわけではありません。
両親のどちらが出席するのか
保護者に当たる人が複数いる場合に、そのうちの一人だけが出席しなければならないという決まりはありません。父母がそろって出席することもあれば、一方だけが出席することもあります。別居している親や、これまで生活に深く関わってこなかった親が出席するかどうかは、少年の生活をこれから実際に支えるのが誰かという観点から、付添人や家庭裁判所と相談して決めていくことになります。
出席は権利であり、呼出しに応じる立場でもある
保護者が審判に出席することは、少年の側に立って手続に関わるための機会です。同時に、家庭裁判所から出頭を求められる立場でもあり、この二つは表と裏の関係にあります。
保護者が出席しなくても審判は行われる
少年審判規則は、少年が審判期日に出頭しないときは審判を行うことができないと定めています。少年の出頭は、手続を進めるための前提です。これに対して保護者については、同じ定めが置かれていません。保護者が出席しないまま審判が行われることもあり得ます。
もっとも、保護者の話を聞かないまま少年の生活環境を判断することは難しいため、実際には出席を前提に日程が組まれます。仕事などの都合で当日の出席が難しいときは、期日が決まる前の段階で付添人や裁判所に伝えておくほうが、調整の余地が残ります。
応じないままにした場合に用意されている手当て
少年法は、少年または保護者が正当な理由なく呼出しに応じないとき、あるいは応じないおそれがあるときに、同行状を発してその同行をすることができると定めています。この定めは保護者にも及びます。呼出状にも、正当な理由がなく出頭しないときは同行状を発することがある旨が記載されます。
連絡をしないまま欠席を重ねる対応は、家庭が少年の監督に関心を向けていないという受け取られ方につながります。出られない事情があるのなら、その事情を伝えること自体が対応になります。
| 項目 | 少年の扱い | 保護者の扱い |
|---|---|---|
| 審判期日の呼出し | 呼び出される | 呼び出される |
| 出頭しなかった場合 | 審判を行うことができない | 審判が行われることがある |
| 呼出しに応じない場合 | 同行状の対象となり得る | 同行状の対象となり得る |
| 意見を述べる場面 | 裁判長の許可を得て述べられる | 裁判長の許可を得て述べられる |
審判の席に入れる人と、入れない人
少年審判は公開されません。傍聴席のある法廷ではなく、会議室に近い部屋で行われることが多く、席に着くのは限られた人だけです。裁判官と裁判所書記官が列席し、家庭裁判所調査官も原則として出席するものとされています。付添人がいる場合は付添人も出席します。
同席してもらいたい人がいる場合
少年審判規則は、裁判長が、少年の親族、教員その他相当と認める者の在席を許すことができると定めています。祖父母やきょうだい、学校の先生、就職先の雇主が同席するのは、この許可によるものです。少年の生活をこれから支える立場の人であれば認められやすい一方、人数が増えると審判の進行にも影響しますので、希望する場合は事前に付添人を通じて申し入れておくことになります。
なお、一定の重大な事件では、被害者やその家族が審判を傍聴することを許される場合があります。これも許可制ですが、当日その場に誰がいるのかは、事前に確かめておくほうが落ち着いて臨めます。
保護者に向けられる質問
裁判官は、少年への質問を終えた後、保護者にも質問します。事件そのものの細かい経緯よりも、家庭がこれまで何を見てきたのか、これから何を変えられるのかに質問が寄っていくのが特徴です。
| 質問の柱 | 典型的な問い |
|---|---|
| 事件を知ったときのこと | いつ、誰から、どのように知ったか。そのとき何をしたか |
| これまでの家庭の関わり方 | 生活の様子で気づいていたことはあったか。どう対応してきたか |
| 事件の後に変えたこと | 生活の中で実際に変えた点はどこか。変えられていない点はどこか |
| これからの監督 | 誰が、どの場面で、どのように関わるのか |
| 被害者への対応 | どこまで進んでいるのか。今後どうするつもりか |
少年の説明と食い違ったとき
保護者と少年の説明がずれることは珍しくありません。事前に答えをそろえようとすると、かえって不自然さが残ります。見ていたことと見ていなかったことを分けて、自分が把握している範囲で答えるほうが、話として通ります。少年の説明と違う点に気づいたときも、その場で本人に訂正を促すより、自分の認識として述べるほうが混乱を招きません。
答えられないことをどう扱うか
仕事の都合で少年の生活時間を把握していなかった、交友関係を知らなかったという答えは、それ自体が家庭の状況を示す情報です。知らなかったことを知っていたように答えると、後の質問で説明が食い違っていきます。わからないことはわからないと述べ、これから把握するための方法を続けて述べるほうが、伝わり方は安定します。
質問する人によって、聞かれ方が変わる
質問をするのは裁判官だけではありません。調査官が出席している場合は調査官から、付添人がいる場合は付添人からも、少年と保護者に質問がなされます。
調査官は、審判の前に少年や家庭を調べてきた立場から質問します。事前のやりとりを踏まえて家庭の受け止め方を確かめたり、自覚を促す形で問いかけたりする場面があります。付添人からの質問は、裁判官が把握していない事情を審判の席に出すために行われることが多く、何を尋ねるかを事前の打合せで決めておけます。
成人の裁判の証人尋問とは別のもの
成人の刑事裁判では、家族は情状証人として証言台に立ち、宣誓をしたうえで尋問を受けます。少年審判で保護者が受けるのは、この意味での証人尋問ではありません。宣誓をして証言する立場ではなく、席に着いたまま質問に答える形をとります。誰がどの範囲まで尋ねられるかについても、成人の裁判のような細かい決まりが置かれているわけではありません。
その分、想定していなかった角度から尋ねられることもあります。答えを暗記して臨むより、事実として何があったのかを整理しておくほうが対応しやすい場面です。
意見を述べる場面は手続の中に用意されている
少年審判規則は、少年、保護者、付添人などが、審判の席において裁判長の許可を得て意見を述べることができると定めています。保護者が意見を述べるのは、感想を求められて答えるのではなく、手続の中に位置づけられた発言の機会です。求められるのを待つだけでなく、述べたいことがあるならその旨を伝え、許可を得て発言することができます。
何について述べる場面なのか
述べる内容は、処分についての希望に限られません。少年の生活で実際に変わったこと、これから家庭がどう関わるつもりでいるのか、支えてくれる人や機関を確保できているのかといった、判断の材料になる事実を述べる場面と考えるほうが実際に近くなります。
「厳しい処分にしないでほしい」という言葉だけでは、判断の材料は増えません。誰が、いつ、どのように関わるのかまで具体化された話のほうが、内容として受け取られやすくなります。
述べたことは記録に残る
審判期日の手続については審判調書が作られ、出席した保護者の氏名と、保護者の陳述の要旨が記載されることになっています。その場限りのやりとりではなく、後から参照される記録として残ります。感情のままに出た言葉も、準備してきた説明も、同じように残ることになります。
かみ合わなくなりやすい受け答え
悪気なく述べた言葉が、家庭の状況について意図と違う印象を残すことがあります。次のような受け答えは、審判の場では扱いが難しくなりがちです。
- 少年の面前で強く責め、その場で反省を迫るような発言を続ける。
- 本人に代わって保護者が答えてしまい、少年が自分の言葉で話す機会がなくなる。
- 被害者や周囲の事情を持ち出して、少年の行為の重さを薄める説明をする。
- これまでの生活の問題点を尋ねられているのに、家庭に問題はなかったと述べ続ける。
- 守れる見通しのない約束を、その場の勢いで述べる。
- 処分についての希望だけを繰り返し、生活の中身に触れない。
少年の前では言いにくいことがある場合
家庭の事情や少年の状態について、本人がいる場でそのまま述べるのが難しい内容もあります。少年審判規則には、こうした場面に対応する定めが置かれています。
少年が席を外すことがある
裁判長は、少年の情操を害する状況が生じたと認めるときは、その状況が続いている間、少年を退席させることができるとされています。保護者が本人の前では述べにくい事情を伝える必要がある場合に、この扱いがとられることがあります。希望があるのなら、当日その場で切り出すより、事前に付添人を通じて伝えておくほうが調整しやすくなります。
発言が止められることもある
裁判長は、適正な審判をするために必要があると認めるときは、発言を制止し、少年以外の者を退席させるなどの措置をとることができるとされています。保護者の発言も例外ではありません。話が長くなったり、審判の目的から離れたりしたときに、途中で区切られることがあります。述べたいことは要点を先に置いて短くまとめておくほうが、伝えたい部分が残ります。
保護者自身に向けられる働きかけ
少年法には、家庭裁判所が、必要があると認めるときに、保護者に対して少年の監護に関する責任を自覚させ、その非行を防止するため、調査や審判において訓戒や指導その他の適当な措置をとることができるという定めが置かれています。審判の席で保護者に向けて話がなされるのは、この定めを背景としています。
この場面は、保護者を責めるために設けられているものではなく、少年の生活を支える側の関わり方を確かめるためのものです。指摘を受けたときに反発で応じるより、どの部分を変えられるのかを言葉にするほうが、話が先に進みます。
決定が告げられる場面
質問と意見が終わると、その日のうちに決定が告げられることが多くなっています。少年審判規則は、保護処分の決定を言い渡す場合には、少年と保護者に対してその趣旨を懇切に説明し、十分に理解させるようにしなければならないと定めています。説明を受ける相手として、保護者が条文に書かれています。
その場で説明を求めてよい
決定の言葉だけでは、翌日から何が始まるのかがつかめないことがあります。どこに、いつ、誰が出向くのか、家庭は何をすることになるのかは、その場で確かめてよい事柄です。付添人がいる場合には、審判が終わった後に改めて説明を受ける時間が取られるのが通常です。
審判の日までに確かめておきたいこと
当日になってからでは調べにくい事柄もあります。次の点は、期日の前に整理しておけます。
- 呼出状に書かれた日時と場所、持参するよう求められているものを確かめる。
- 自分が保護者として出席する立場に当たるか、ほかに出席する人がいるかを整理する。
- 祖父母や学校の関係者の同席を希望する場合は、事前に付添人へ伝える。
- 仕事などで出席が難しい場合は、日程が決まる前に事情を伝える。
- 述べたいことを、これまでの事実と、これからの関わり方に分けて書き出しておく。
記録のすべてが保護者に渡るわけではない
保護事件の記録は、原則として家庭裁判所の許可がなければ閲覧できません。付添人は審判開始の決定があった後に閲覧できますが、被害者の氏名や住所などについては、少年や保護者に知らせてはならないという条件が付されることがあります。付添人が説明を控える事柄があるとき、隠しているのではなく、こうした扱いによる場合があります。
少年事件のご相談について
弁護士法人若井綜合法律事務所は、池袋と新橋に事務所を構え、刑事事件や少年事件のご相談をお受けしています。ご本人からのご相談だけでなく、保護者の方からのご相談にも対応しています。審判の期日が決まっている場合は、残された時間で何を用意できるかによって当日の臨み方が変わりますので、呼出しを受けた段階でご相談いただければと思います。
まとめ
- 審判期日には少年と保護者が呼び出され、保護者には法律上の保護者と事実上の保護者が含まれる。
- 18歳と19歳の親は、実際に監護している実質を踏まえて事実上の保護者として扱われるという整理がされている。
- 保護者が出席しなくても審判は行われるが、正当な理由なく呼出しに応じない場合は同行状の対象となり得る。
- 祖父母や学校の関係者の同席は許可によるもので、希望する場合は事前の申し入れが必要になる。
- 裁判官のほか、調査官や付添人からも保護者に質問がなされる。
- 質問は事件の経緯よりも、家庭がこれまで見てきたことと、これから関わる形に寄っていく。
- 保護者は、裁判長の許可を得て意見を述べることができる立場にあり、その陳述の要旨は審判調書に記載される。
- 保護処分の決定は少年と保護者に対して趣旨が説明されることになっており、わからない点はその場で確かめてよい。


