端末を初期化・機種変更した場合|不利に働く事情になるか
性風俗店を利用する際、無断で録音をしてしまい、これが発覚したことで携帯電話や身分証明書を預かられ、高額な解決金を求められた方からのご依頼です。弁護士が窓口となって交渉し、当初の請求額から大幅な減額を実現し、私物の返還と円満な解決に至った事例をご紹介します。
ご相談の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 依頼者 | Aさん(20代・会社員・男性) |
| トラブルの内容 | デリバリーヘルス利用中に無断で録音していたことが発覚し、携帯電話や身分証明書を預かられた |
| 店舗側からの請求額 | 100万円程度 |
| 解決額 | 10万円 |
ご依頼に至る経緯
ある日、関西の地方都市において、Aさんはデリバリーヘルスを利用することにしました。性風俗店自体は利用したことがあったものの、この日訪れた店舗は初めての利用であったとのことです。
ホテルで女性の到着を待つ間、Aさんは、自宅に戻ってから個人的に聞くつもりで、サービス提供時の音声を携帯電話で録音しようと考え、録音機能を作動させました。
まもなく女性が到着しましたが、Aさんの様子を不審に思った女性がすぐに携帯電話を確認したところ、録音されていることが発覚してしまいました。女性は店舗の従業員をホテルの部屋に呼び出し、無断で録音されていたことを伝えました。
店舗の従業員は、Aさんに対して携帯電話と身元の分かる資料の提出を求めました。怖くなったAさんは、録音していた携帯電話のほか、保険証や名刺を渡してしまい、あわせて親と職場の連絡先も伝えてしまいました。
従業員は、店のオーナーとの話し合いが必要だとして、後日改めて店舗の事務所に来るようAさんに求め、日時を指定したうえでその場は解放しました。不安になったAさんは、自分ひとりでの対応は難しいと考え、弊所に電話で相談されました。
録音がどこまで証拠として扱われるのか、また記録をどう残すべきかについては、録音はどこまで証拠になるか|風俗トラブルでの残し方で詳しく解説しています。
弁護士の対応と解決への流れ
ご相談の際、Aさんが特に不安を感じていたのは、預けてしまった携帯電話や身分証明書が悪用されるのではないかという点と、親や職場に連絡が行ってしまうのではないかという点でした。
前者については、悪用される可能性を否定はできないものの、きちんと店舗を構えている性風俗店が、犯罪に該当するような行為にまで及ぶリスクを取ることは考えにくい旨を説明しました。後者については、Aさんと連絡が取れなくなるような事態があれば連絡してくる可能性は否定できないが、店舗側と連絡を取り続けている限りは避けられるだろうと説明しました。
そのうえで、Aさんご自身での対応は難しいと考えられたことから、当職が窓口を引き取り、店舗側との対応を行うことになりました。
ご依頼後、当職から店舗に連絡したところ、たまたま店のオーナーが在店しており、そのまま話をすることができました。まず、Aさんの窓口を当職が引き取ったこと、親や職場への連絡は控えていただきたいことを伝えました。あわせて、携帯電話を預かられている状態が日常生活に支障を来しているため、速やかな返還を申し入れました。
これに対し店舗のオーナーは、同種の事案では100万円程度を支払ってもらっている、女性キャストを不安にさせた以上支払は当然だとの考えを示し、解決金を支払えば携帯電話等は返還するとの回答でした。
たしかに、録音を未然に防げていたとしても、録音されていたかもしれないという事実が女性キャストを不安にさせたであろうことは想像できます。もっとも、100万円という金額の根拠は明確ではなく、女性が入室後すぐに録音に気づいたため実際にはほとんど録音がされていなかったという事情を踏まえると、その金額は高額に過ぎると考えられました。
そこで当職からは、女性を不安にさせた点については謝罪の趣旨で少額の解決金を支払う考えがあることを伝え、交渉を進めました。店舗のオーナーは当初難色を示していましたが、それ以上の損害を裏付ける具体的な資料は示されず、最終的に当方の提示を受け入れる形で、解決金は10万円ということになりました。
その後、合意書を取り交わし、店舗が預かっていた携帯電話、保険証、名刺については、店舗まで取りに来てほしいとのことでしたので、当職が店舗事務所を訪問し、直接私物を受け取って終件となりました。合意書には、今後もAさんの関係先には連絡しないという条項を設けたほか、店舗訪問の際にも、不要な連絡先情報を削除するよう重ねて申し入れました。
解決結果と弁護士のコメント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 請求額 | 100万円程度 |
| 解決額 | 10万円 |
| 刑事処分 | 警察の介入はなし |
| 職場・家族 | 知られることなく解決 |
性風俗店でのトラブルとして弊所に多く寄せられるのは、いわゆる本番トラブルや盗撮トラブルですが、無断で録音をしてしまい、それが店舗側に発覚してトラブルになるというケースについても、件数は多くないものの相談をいただいております。
本番行為や盗撮行為とは異なり、無断で録音する行為は、それだけで直ちに犯罪に該当するとは限りません。しかし、この点を知ってか知らずか、店舗側から警察の介入を示唆され、不安になって高額な解決金を支払ってしまう方もいらっしゃいます。もちろん、無断録音については少なくとも民事上の問題は残りますので、そのままにしてよいということにはなりませんが、自身の行為がどのように位置づけられるのかを把握したうえで、対応を検討していく必要はあるでしょう。
本件では店舗側がAさんの携帯電話や保険証、名刺を預かっていましたが、性風俗店とのトラブルにおいて、身分証明書等を店舗側に預けることになるケースは珍しくありません。原本を預けるケースは比較的少なく、免許証のコピーを取られたという相談の方が多い印象ですが、親や配偶者、職場の連絡先を伝えてしまったという相談もよく伺います。
預かった身分証明書等や携帯電話が悪用されたり、職場に事実が伝えられたり、親族に解決金の請求がされたりすることは多くはないと考えられます。解決金を得るという店舗側のメリットに対し、そうした対応によって店舗側が抱えるリスクの方が大きいためです。もっとも、店舗側としては、身元を把握していることを交渉の材料として用いることができ、状況によっては訴訟などの法的手続も選択肢となり得るため、今後も身分証明書等の提示を求められる場面は続くと考えられます。
本件のように携帯電話本体を預けてしまうと日常生活に支障が生じますし、身分証明書の原本を預けるとなると、コピーを取られる場合よりも不安は大きくなるかと思います。そうした事態を避けるためにも、身分証明書等を渡してしまう前に、一度弁護士へご相談いただくことをおすすめします。
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本件と関連する内容について、次の記事で解説しています。
同種のトラブルでお悩みの方へ
弁護士が代理人として対応することを店舗側に伝えれば、連絡が取れなくなるという店舗側の懸念を解消しつつ、不必要に私物を渡してしまい交渉力が下がることも避けやすくなります。事案の内容によって結果は異なりますが、多くの場合、弁護士が早期に介入するほどトラブルの早期解決につながりやすくなります。すぐに法律事務所へ連絡することが難しい状況もあるかと思いますが、少しの時間でも弁護士に話を聞いていただくことは、状況を整理するうえで役立つはずです。性風俗店とのトラブルでお困りの際は、お早めに弊所までご相談ください。


